[P一般-061] 介護施設入所者の口腔内状況と歯科衛生士の介入の効果に対する検討
【目的】近年の高齢化社会において介護施設入所者数は毎年増加してきている。しかし、介護施設への歯科の関わりは進んでおらず、施設に歯科衛生士が介入しているケースは依然として少ない。そこで、介護保険施設入所者の口腔保健の向上のため、歯科医師や歯科衛生士の関わりの状況や、入所者の口腔内の実態を把握するための調査を行った。本研究はこれらの調査から歯科衛生士の介入と入所者の口腔内の状況の関係について明らかにすることを目的とした.
【方法】2018年10月から2019年1月末の4か月間に岐阜県内の介護老人福祉施設および介護老人保健施設から無作為に抽出し同意の得られた28施設の入所者 1148名を対象とした。(男性203人,女性945人・平均年齢87.0±7.7歳)現在歯の状況および口腔衛生状況としてプラークの付着状況、食渣、舌苔、官能検査による口臭,口腔乾燥の状態、口腔ケア回数などの診査・調査を歯科医師が行った。口腔衛生状況等を常勤歯科衛生士のいる施設、非常勤歯科衛生士のいる施設,歯科衛生士のいない施設間で比較検討した.データは連結不可能匿名化されている情報を用いた.
【結果と考察】歯科衛生士の介入状況は、常勤のみが4施設、常勤と非常勤が1施設、非常勤のみが3施設、歯科衛生士の介入がないものは20施設であった。歯科衛生士の有無で歯肉出血、歯周ポケットの状況に差はみられなかった。しかし、プラークの付着(p<0.05)、食渣(p<0.001)、舌苔(p<0.01)、口臭(p<0.001)の状況については常勤、非常勤の歯科衛生士がいる施設に入所している者は、いない施設に入所している者に比べ、有意に良好であり、常勤の衛生士がいる施設に入所している者ではその傾向がより顕著であった。歯科衛生士が常勤で施設にいることで、入所者や施設職員の口腔ケアに対する意識や知識の向上に効果があったと考えられる。入所者の日常の口腔ケアの自立状況を、自立、一部介助、全介助に分けて口腔の衛生状況を検討した結果、プラークの付着では自立群に比べ全介助群の方が良好な者が有意に(p<0.05)多かった。自立して口腔ケアができる者についても口腔ケアの援助が必要であり、歯科衛生士に直接的な介入以外にも入所者や施設職員に対する口腔ケア指導が必要であることが示唆された。(日本赤十字看護大学 研究倫理審査委員会 承認番号1910)
【方法】2018年10月から2019年1月末の4か月間に岐阜県内の介護老人福祉施設および介護老人保健施設から無作為に抽出し同意の得られた28施設の入所者 1148名を対象とした。(男性203人,女性945人・平均年齢87.0±7.7歳)現在歯の状況および口腔衛生状況としてプラークの付着状況、食渣、舌苔、官能検査による口臭,口腔乾燥の状態、口腔ケア回数などの診査・調査を歯科医師が行った。口腔衛生状況等を常勤歯科衛生士のいる施設、非常勤歯科衛生士のいる施設,歯科衛生士のいない施設間で比較検討した.データは連結不可能匿名化されている情報を用いた.
【結果と考察】歯科衛生士の介入状況は、常勤のみが4施設、常勤と非常勤が1施設、非常勤のみが3施設、歯科衛生士の介入がないものは20施設であった。歯科衛生士の有無で歯肉出血、歯周ポケットの状況に差はみられなかった。しかし、プラークの付着(p<0.05)、食渣(p<0.001)、舌苔(p<0.01)、口臭(p<0.001)の状況については常勤、非常勤の歯科衛生士がいる施設に入所している者は、いない施設に入所している者に比べ、有意に良好であり、常勤の衛生士がいる施設に入所している者ではその傾向がより顕著であった。歯科衛生士が常勤で施設にいることで、入所者や施設職員の口腔ケアに対する意識や知識の向上に効果があったと考えられる。入所者の日常の口腔ケアの自立状況を、自立、一部介助、全介助に分けて口腔の衛生状況を検討した結果、プラークの付着では自立群に比べ全介助群の方が良好な者が有意に(p<0.05)多かった。自立して口腔ケアができる者についても口腔ケアの援助が必要であり、歯科衛生士に直接的な介入以外にも入所者や施設職員に対する口腔ケア指導が必要であることが示唆された。(日本赤十字看護大学 研究倫理審査委員会 承認番号1910)