The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

実態調査

[P一般-068] 歯科訪問診療における歯科医療従事者の診療姿勢に関する調査

○松原 国男1,2、川西 克也2,3、菅 悠希2、佐々木 みづほ2、豊下 祥史2、越野 寿2,1 (1. 北海道医療大学 歯科クリニック 地域支援医療科、2. 北海道医療大学 歯学部 咬合再建補綴学分野、3. 北海道医療大学 歯学部 臨床教育管理運営分野)

【目的】

歯科訪問診療時における安全な医療提供を行うための術者の診療姿勢および負担軽減案を検討することを目的としてアンケート調査を実施したので報告する。

【方法】

本学歯科クリニック職員のうち歯科訪問診療を経験したことのある職員ならびに歯科訪問診療を実施している一般歯科医院の歯科医師(平均年齢46.5±8.9)を対象に、不自然な姿勢を強いられる診療姿勢A(前屈)と診療姿勢B(前屈+ひねり)の2パターン実施させ、身体的苦痛の生じる部位と姿勢保持耐久時間などに関するアンケート調査を行った。姿勢保持耐久時間の統計解析には対応のあるt検定を行った。

【結果と考察】

過去に歯科訪問診療中に身体的苦痛を認めた者の割合は75%であった。身体的苦痛の対策として、「患者の姿勢を変える」と回答した割合が最も高く、次いで「術者の姿勢を変える」「診療の合間に肩・腰などのストレッチを行う」との回答が高かった。不自然な診療姿勢における身体的苦痛の部位は、診療姿勢Aと診療姿勢Bのいずれも腰の痛みが生じるとの回答が最も高かった。次いで、首や肩への症状の訴えが多かった。姿勢保持耐久時間の計測結果では、診療姿勢A(113±45.0秒)よりも診療姿勢B(64±36.9秒)のほうが有意に短いことが認められた(p < 0.01)。身体的苦痛が生じやすい患者体位と診療部位の組み合わせに関する質問では、患者体位が座位、セミファウラー位、ファウラー位のいずれにおいても、上顎-右側-臼歯部の組み合わせが最も多かった。

以上より、前屈よりもひねりを伴う診療姿勢のほうが身体的苦痛を増加させ、姿勢拘束が短時間となることから、安全面への配慮の低下や積極的な治療介入の回避の要因となりうる可能性が認められた。今後は、より安全な歯科訪問診療を提供するための術者の診療姿勢および術者の負担軽減案を検討するため更なる研究を進めていく。

(COI 開示:なし)

(北海道医療大学  倫理審査委員会承認番号 166)