The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

PDFポスター

実態調査

[P一般-069] 介護保険施設における食形態に関連する因子の検討

○武田 雅彩1、平良 賢周1、松下 貴恵1、岡田 和隆1、渡邊 裕1、山崎 裕1、中島 純子2、吉田 光由4、佐藤 裕二3 (1. 北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、2. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、3. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座、4. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学研究室)

【目的】

介護保険施設入所者の栄養摂取状況(食形態)を把握し、それに関連する因子を検討し、要介護高齢者が適正な食形態を選択するための評価項目を検証する。

【方法】

全国19地区の介護保険施設35施設の入居者979名を対象とした。調査項目は、基本情報(年齢、性別、BMIなど)、食形態(嚥下調整食分類)、BI、CDR、聖隷式質問紙、摂食力評価、食欲評価、口腔内状況、RSST、改訂水飲みテスト、機能歯数、OHAT-Jとした。食形態に関連する因子を検討するため、対象は経口摂取をしており、かつ栄養摂取状況が良好な要介護高齢者632名を分析対象とした。これら対象者を嚥下調整食を摂取している群と、常食もしくは加工常食を摂取している群の2群に分類した。常食摂取が可能であるかを従属変数とし、口腔機能の客観的評価と、専門職以外でも簡単に行える評価の2項目に分けて二項ロジスティック回帰分析を行った。

【結果と考察】

嚥下調整食を摂取している群は209人(33.1%)、常食、加工常食を摂取している群は423人(66.9%)であった。口腔機能の客観的評価で有意な関連が認められたのは(以下OR, 95%CI, p値)、RSST(1.31,1.01-1.69,p=0.37)、機能歯数(1.08,1.04-1.12,p<0.01)であり、簡単な評価では開口度(2.00,1.10-3.63,p=0.22)、むせの有無(2.89,1.58-5.29,p=0.01)、口腔内の食物残渣を出せる(0.25,0.18-0.34,p<0.01)であった。

介護現場では摂食嚥下機能に関して専門的な評価を頻繁に行うことは困難であり、機能と摂取している食形態の間に乖離がみられることが少なくない。今回、開口度やむせの有無、食物残渣を出すことができる、といった介護職が日常観察できる簡便な評価が食形態と関連していた。これら評価を介護職が定期的に行うことで食形態と機能の乖離を早期にスクリーニングし適切な食形態を提供することができれば、摂食嚥下機能障害のある要介護高齢者の低栄養、肺炎、窒息や誤嚥などの事故を予防することができると思われる。

【謝辞】

本調査は、H30年度老人保健健康増進等事業として実施した。日本老年歯科医学会特任委員会の委員ならびに関係者に深謝する。

(COI開示:なし)(承認番号 老年歯科倫理2018-3)