The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

一般演題(ポスター)

PDFポスター

加齢変化・基礎研究

[P一般-077] DOMAC配合タブレットによる舌表面微生物数抑制効果の二重盲検比較試験

○竜 正大1、山内 茉椰1、藤野 亜紀1、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)

【目的】
舌苔は口腔微生物の温床といわれており,その除去は口腔内微生物数の抑制に重要である。舌苔の除去には舌ブラシによる物理的方法が効果的であるが,ブラシを適切に使用することが困難な場合や日々の生活で舌清掃の時間や場所を確保できない場合もあり,日常的に舌清掃を行うことは容易ではない。
 我々は,口腔微生物の付着抑制や抗菌活性を示す成分のオリゴノールやカプリン酸などの混合物(DOMAC)を配合したタブレットに着目し,この摂取による舌苔や口腔微生物数への効果を検討することとした。本研究は,DOMAC配合タブレットの摂取による舌表面微生物への影響を明らかにすることを目的に,二重盲検クロスオーバー試験を行った。
【方法】
対象は摂食嚥下障害がなく,食物アレルギーの無い65歳以上の高齢者22名とし,DOMAC配合タブレットと,同形態でDOMAC無配合のタブレット(プラセボ群)とを設定した二重盲検試験を行った。DOMAC配合タブレットまたはプラセボ群のタブレットを1日2回,7日間摂取し,2週間のウォッシュアウト期間後,異なる種類のタブレットを同様に7日間摂取するクロスオーバー試験を行った。摂取順は,各群が同数になるようにランダムに割り付けた。各摂取期間の開始時と終了後とに舌表面微生物数,舌苔付着程度および舌表面湿潤度の計測を行い,Wilcoxonの符号付順位検定にて比較検討を行った(α=0.05)。
【結果と考察】
DOMAC配合タブレット摂取群では,舌表面微生物数が減少し,摂取前後に有意差を認めた(p=0.023)。また,舌苔付着程度も減少し摂取前後に有意差を認めた(p=0.001)。プラセボ群では,舌苔付着程度について統計学的有意差を認めた(p=0.021)が,舌表面微生物数については有意差を認めなかった(p=0.204)。舌表面湿潤度は,DOMAC配合タブレット摂取群(p=0.057)とプラセボ群(p=0.284)ともに有意差を認めなかった。
 タブレット摂取による物理的刷掃により両群とも舌苔が除去され,DOMAC配合タブレット摂取群ではさらにDOMACの成分による化学的清掃効果が加わり,舌表面微生物数を抑制した可能性が考えられた。
 本研究結果よりDOMAC配合タブレット摂取群では舌表面微生物が抑制されることが明らかとなった。
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会 承認番号744号)