加齢変化・基礎研究

[P一般-080] QCMシステムによるLPSの義歯床用材料表面への付着挙動の検討

○松本 卓巳¹、三宅 晃子²、小正 聡¹、出射 香里¹、小正 裕² (1. 大阪歯科大学　歯学部　欠損歯列補綴咬合学講座、2. 大阪歯科大学　医療保健学部)

【目的】

我々はこれまで新規の義歯洗浄剤の開発のために義歯床用材料表面上に付着する汚れの脱着メカニズムを解析する取り組みをこれまで行ってきた。今回我々はバイオフィルムの基質の菌体成分であるLipopolysaccharide（LPS）が義歯床用材料表面の汚れの付着に関与しているのではないかと考え，我々がこれまで多くの研究業績をあげてきたQCMシステムを利用し，義歯床用材料に対するLPS付着挙動の検討を行った。

【方法】

表面洗浄を行ったAu QCMセンサ上にPMMAをスピンコーターし，PMMAQCMセンサを作製した。センサ上のPMMA成膜の確認をSPMとXPSにて行った。PMMAQCMセンサを装着したQCM装置のガラスセル内にPBS溶液を500µl滴下した。液相の共振周波数安定後，LPS溶液(1µg/ml)を5µl滴下し，PMMA QCMセンサに付着させた。その後，PMMA QCMセンサにLPSを5µl滴下したものを実験群，AuQCMセンサを5µl滴下したものを対照群とし，共振周波数の経時的変化を観察した。測定は各3回ずつ行い，studentのt検定により統計学的解析を行った。有意水準は5%未満とした。

【結果と考察】

SPMとXPSの結果によりPMMA QCMセンサではPMMAが成膜されていることが明らかとなった。QCMの測定結果より，実験群では対照群と比較して有意に高い吸着量を認めた。我々の先行研究では義歯の汚れの付着には材料表面の化学組成が関与していると報告しており，PMMAは汚れの付着しやすい環境であることが明らかとなった。本研究の結果は先行研究の示す結果を参照しており，LPSは義歯床用材料表面への汚れの付着に関与する材料として注目すべき材料であることが明らかとなった。

COI開示：なし。