The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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加齢変化・基礎研究

[P一般-081] 無発泡性の義歯洗浄剤の洗浄効果の検討

○三宅 晃子1、小正 聡2、松本 卓巳2、小正 裕1 (1. 大阪歯科大学 医療保健学部、2. 大阪歯科大学 歯学部 欠損歯列補綴咬合学講座)

【目的】

  超高齢社会の到来により,オーラルフレイルに対する我々歯科医師の役割は非常に重要である.とりわけ高齢者の口腔内の清掃状態は不良であることが多く,全身状態の悪化を誘導する恐れがある.その為,汚れの宿主となる義歯を清潔にする義歯洗浄剤を開発することを我々は検討してきた.そこで本研究では,センサの振動数の変化を検出することによってセンサ上に脱着する汚れの質量をナノグラムレベルで定量できる水晶発振子マイクロバランス(QCM)法を利用し,無発泡性の義歯洗浄剤の洗浄効果について検討を行った.

【方法】

  市販のAu QCMセンサにスピンコート法を用いてPMMA QCMセンサを作製した.走査型プローブ顕微鏡(SPM)と走査型X線光電子光分析装置(XPS)を用いて,センサ表面の定性分析を行った.汚れの物質はウシ血清アルブミンと牛脂を用いた.義歯洗浄剤には無発泡性のデントムース(実験群;Bee Brand社製)とPBS(対照群)を使用し,QCM装置を用いて,汚れの除去率を算出した.測定は各3回ずつ行い,studentのt検定により統計解析を行った.有意水準は5%未満とした.QCMにて測定後,XPSとContact Angle Systemを用いて表面性状の比較検討を行った.

【結果と考察】

  QCMの測定結果では,実験群は対照群と比較して高い汚れの除去率が認められた.センサ表面の汚れを洗浄した後のSPM画像の結果では,実験群は対照群と比較して低い表面粗さを認めた.接触角の結果は,実験群では対照群と比較して接触角は大きく,PMMAブロックの接触角に近似した.

  我々の過去の研究では,義歯洗浄剤の多くで使用されている発泡成分が義歯表面上に付着する細菌の除去効果はあるもののタンパク質系の汚れには効果がないのではないかと考察した.本研究の結果は無発泡性の義歯洗浄剤がタンパク質系の汚れも除去し,汚れを十分に洗浄する効果があることが示唆された.