[P一般-087] メタボローム解析を用いたSAM-P8マウス筋肉の老化関連代謝物の探索
【緒言】
「オーラルフレイル」は口腔機能低下症の前段階であり滑舌が悪くなる等の軽微な衰えを早期に発見するために必要な概念であり、近年のフレイルとの関連性が示唆されている。我々は咬筋の老化に着目し、老化促進モデルマウス(SAM-P8)の咬筋において経時的に筋萎縮や収縮特性の変化を認めることを報告した。(Hoshino et al. JOMSMP, 2018)今回我々は分子生物学的変化に注目し、12週齢(若齢期)と55週齢(高齢期)のSAM-P8咬筋と長趾伸筋を用いてとキャピラリー電気泳動-質量分析法(CE-MS法)メタボローム解析を用いて老化関連代謝物質を探索した。また免疫組織化学染色を用いて咬筋に特徴的な代謝物質の発現解析を行ったので報告する。
【実験動物と方法】
実験動物はSAM-P8マウスを用いた。12週齢、55週齢の各5匹ずつ摂餌量を計測しながら飼育した。体重を測定し左側咬筋、対象群として長趾伸筋を速やかに剖出後、前処理を行い中心エネルギー代謝経路に関与する116の水溶性代謝物質を対象として質量分析装置(CE-TOFMS、CE-QqQMS)を用いたメタボローム解析を行った。右側咬筋、下肢筋肉はµCTを用いて体積測定を行い、体重体積比を用いて比較した。統計学的解析はWelchのt検定を使用した(p<0.05)。
【結果と考察】
咬筋では51物質で発現に有意差を認めた。その中で加齢により上昇していたのは17物質であった。さらに主成分分析で老化に関与が示唆される物質で老化に特徴的な①プリン代謝経路のイノシン酸(IMP)②ポリアミン代謝経路のスペルミジンに対して免疫組織化学的染色を行った結果、局在の変化を認めた。
長趾伸筋では78物質で発現に有意差を認めた。その中で加齢により上昇していたのは17物質であった。主成分分析で関与が示唆される物質は認められなかった。体積測定に関して体重体積比において咬筋では有意に減少し、下肢筋肉では有意差は認められなかった。本実験でSAM-P8の咬筋、長趾伸筋の老化関連代謝物質を抽出し局在の確認ができた。今後はこれらの物質が筋における抗加齢に繋がるのかを検討していく必要があると考える。
「オーラルフレイル」は口腔機能低下症の前段階であり滑舌が悪くなる等の軽微な衰えを早期に発見するために必要な概念であり、近年のフレイルとの関連性が示唆されている。我々は咬筋の老化に着目し、老化促進モデルマウス(SAM-P8)の咬筋において経時的に筋萎縮や収縮特性の変化を認めることを報告した。(Hoshino et al. JOMSMP, 2018)今回我々は分子生物学的変化に注目し、12週齢(若齢期)と55週齢(高齢期)のSAM-P8咬筋と長趾伸筋を用いてとキャピラリー電気泳動-質量分析法(CE-MS法)メタボローム解析を用いて老化関連代謝物質を探索した。また免疫組織化学染色を用いて咬筋に特徴的な代謝物質の発現解析を行ったので報告する。
【実験動物と方法】
実験動物はSAM-P8マウスを用いた。12週齢、55週齢の各5匹ずつ摂餌量を計測しながら飼育した。体重を測定し左側咬筋、対象群として長趾伸筋を速やかに剖出後、前処理を行い中心エネルギー代謝経路に関与する116の水溶性代謝物質を対象として質量分析装置(CE-TOFMS、CE-QqQMS)を用いたメタボローム解析を行った。右側咬筋、下肢筋肉はµCTを用いて体積測定を行い、体重体積比を用いて比較した。統計学的解析はWelchのt検定を使用した(p<0.05)。
【結果と考察】
咬筋では51物質で発現に有意差を認めた。その中で加齢により上昇していたのは17物質であった。さらに主成分分析で老化に関与が示唆される物質で老化に特徴的な①プリン代謝経路のイノシン酸(IMP)②ポリアミン代謝経路のスペルミジンに対して免疫組織化学的染色を行った結果、局在の変化を認めた。
長趾伸筋では78物質で発現に有意差を認めた。その中で加齢により上昇していたのは17物質であった。主成分分析で関与が示唆される物質は認められなかった。体積測定に関して体重体積比において咬筋では有意に減少し、下肢筋肉では有意差は認められなかった。本実験でSAM-P8の咬筋、長趾伸筋の老化関連代謝物質を抽出し局在の確認ができた。今後はこれらの物質が筋における抗加齢に繋がるのかを検討していく必要があると考える。