The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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加齢変化・基礎研究

[P一般-089] 抗RANKL抗体とビスホスホネート製剤誘発性顎骨壊死様病変は免疫病理所見が異なる

○黒嶋 伸一郎1、佐々木 宗輝1 (1. 長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野)

【目的】
 ビスホスホネート(BP)製剤関連顎骨壊死(BRONJ)や抗RANKL抗体製剤であるデノスマブ関連顎骨壊死(DRONJ)などの薬剤関連顎骨壊死は高齢者に多く発生する疾患で,わが国の人口動態変化に伴いさらなる患者数の増加が予想されているものの,その病因は現在でも不明である.我々は,BP製剤とデノスマブは薬剤の作用機序が異なることに起因して,顎骨壊死としての肉眼的所見が同じでも,組織学的所見や免疫病理学的所見は異なると仮説を立てた.本研究の目的は,BRONJとDRONJのマウスモデルを確立して病態の比較解析を行うことにある.
【方法】
 雌性C57BL/6Jマウスを用いた.マウス用デノスマブ(mAb)単独投与,注射用BP製剤(ZA)単独投与,mAbまたはZAと抗癌剤シクロフォスファミド(CY)の併用投与を3週間行った後に上顎両側第1大臼歯を抜歯し,その2週間後に屠殺した.屠殺後に上顎骨と血清を採取し,創部の肉眼所見,三次元構造解析,組織形態学的解析,免疫組織化学的解析,血清解析により抜歯部硬軟組織治癒を比較評価した.
【結果と考察】
 血清TRAcP5bレベルはCYの投与に関わらずmAbとZAの投与により有意に低下したことから,投与薬剤が効果を示すことが確認された.抜歯窩硬軟組織を詳細に比較検討した結果,CY/mAbとCY/ZAでは,ほとんどの創部が開放して多量の壊死骨が露出し,著しい炎症性細胞浸潤,コラーゲン産生低下,ならびに血管新生抑制が起こってDRONJとBRONJ様病変を呈していた.一方興味深いことに,リンパ管形成はCY/ZAのみで惹起され,LYVE-1陽性マクロファージはCY/mAbのみで有意な減少が認められた.以上から,作用機序が異なるZAとmAbにより誘発されたBRONJ様病変とDRONJ用病変は,肉眼的所見や組織経学所見が同じでも,免疫病理学的には大きく異なっていることが明らかとなった.したがって,BRONJとDRONJの病因は異なる可能性が考えられた.
(長崎大学 倫理委員会承認番号17082414040-2)