The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

地域歯科医療シンポジウム

オンデマンド動画

歯科口腔保健事業における『保健事業と介護予防の一体的な実施』を考える

座長:平野 浩彦(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科)

[SY2-2] 「保健事業と介護予防の一体的な実施」への日本歯科医師会の対応

○小玉 剛1 (1. 公益社団法人 日本歯科医師会常務理事)

【略歴】
1983年:
城西歯科大学(現・明海大学)歯学部 卒業
1985年:
こだま歯科医院 開設
1989年:
東京医科歯科大学院歯学研究科修了 歯学博士
1991年:
東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校 非常勤講師(~2011年)
1993年:
東京医科歯科大学歯学部 非常勤講師(~1997年)
2005年:
明治薬科大学 客員教授(~2016年)
2013年:
一般社団法人 東京都東久留米市歯科医師会 会長(~2017年)
2016年:
公益社団法人 日本歯科医師会 常務理事
日本プライマリ・ケア連合学会 多職種協働委員会委員
社会歯科学会 副理事長
一般社団法人 日本老年歯科医学会 在宅歯科医療問題検討委員会副委員長

2020(令和2)年4月より「高齢者の保健事業と介護予防事業」が市町村で一体的に実施されている。高齢者が集まる「通いの場(サロン)」を中心に、フレイル予防、オーラルフレイル対策により疾病予防・重症化予防につなげて、国民の健康寿命を延伸することが目的である。このために、国保データベース(KDB)から医療・健診・介護情報等を把握し、「後期高齢者の質問票」を組み合わせて健康状態を評価する。

 「通いの場」では運動・口腔・栄養等について、歯科衛生士が保健師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等のリハビリテーション職種と協働し、必要な場合には「かかりつけ歯科医」に接続する。

 歯科診療所では「通いの場」への参加を勧奨し、適切な歯科保健医療の提供により、「口のささいなトラブル」、「口の機能低下」、さらに「食べる機能の障害」に対応する。すなわち、かかりつけ歯科医による口腔機能低下症、口腔機能障害の診断と処置や病院歯科との連携も重要である。さらに社会的な虚弱、精神心理・認知の虚弱による閉じこもりや孤立した住民に対して、保健・福祉専門職等と連携しながらのアウトリーチも重要な対応の一つであろう。

 また地域の歯科医師会は、市町村行政とも連携を深め、事業計画立案の段階から関与することが求められている。

 日本歯科医師会は、オーラルフレイルの周知を目的に、2018(平成30)年に国民向けリーフレットを作成した。2019(令和元)年には歯科医師向けに「歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版」を作成し、2020(令和2)年4月には、オーラルフレイル対策の現場での担い手となる市町村や保健所向けに、「通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル ~高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けて~ 2020年版」を作成し、本会HPにも掲載した。

 歯科専門職種だけでなく、地域の行政、多職種の方々、さらに地域住民へ「通いの場」でのオーラルフレイル対策への理解が深まり、「保健事業と介護予防の一体的な実施」の成果が上がることが期待される。