The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

地域歯科医療シンポジウム

オンデマンド動画

歯科口腔保健事業における『保健事業と介護予防の一体的な実施』を考える

座長:平野 浩彦(東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科)

[SY2-3] 都市部での展開:東京都における通いの場を中心とした取り組み

○白部 麻樹1 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター)

【略歴】
2013年:
東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 卒業
2015年:
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修士課程 修了
2015年:
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防研究チーム 非常勤研究員
2017年:
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防推進支援センター 研究員
2018年:
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程 入学
2019年:
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター 研究員

通いの場は、「年齢や心身の状況等によって高齢者を分け隔てることなく、誰でも一緒に参加することのできる介護予防活動の地域展開を目指して、市町村が介護予防に資すると判断する住民主体」の場と定められている(平成31年地域支援事業実施要綱)。また平成26年介護保険法改正以降、通いの場の数および参加率は増加傾向にあり、平成30年度現在106,766か所、65歳以上人口に占める参加率は5.7%となっている。通いの場等における介護予防の取組は、総合事業における一般介護予防事業の中で、地域介護予防活動支援事業の一つとして全国で展開されている。

 以上の流れを受け東京都では、地域づくりによる介護予防推進支援モデル事業(平成26年度開始、厚生労働省)へ平成27年度に参画した。さらに、平成29年度には東京都介護予防推進支援事業の一つとして、介護予防に係る総合的・継続支援を行うことを目的に、東京都介護予防推進支援センター(以下、支援センター)を設置した。支援センターの事業は、介護予防に係る人材育成、派遣調整、相談支援、事業評価・効果検証の4つを柱としている。特に通いの場を中心とした事業で人材育成として、区市町村職員・地域包括支援センター職員・リハビリテーション専門職等を対象に、住民主体の通いの場における支援者の在り方、通いの場づくりの具体的な手法等を学ぶ研修会を開催している。派遣調整では、支援を必要とする区市町村と、通いの場を支援できるリハビリテーション専門職との人材のマッチングを行い、相談支援では、支援センターおよび東京都健康長寿医療センター研究所が連携し、通いの場の立ち上げや展開における課題解決に向けて、エビデンスに基づく専門的助言を行っている。事業評価・効果検証では、都内および全国の通いの場等の介護予防に関する好事例を検証し、その結果を区市町村に還元し、通いの場づくりの推進に活用している。以上のような支援センターの事業を通し、通いの場の数や、協力できるリハ専門職数の増加などに繋がっている。今後はさらなる通いの場の拡大、介護予防・生活支援サービス事業との連動の体制整備に向けた展開が予想される。

 通いの場は、令和2年度より順次施行される高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施等においても注目されている地域資源であることから、通いの場づくりを中心とした総合事業の取組について都内の事例を紹介する。(COI開示:なし)