The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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歯科衛生士シンポジウム

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老年歯科における歯科衛生士のこれまでの10年、これからの10年を考える

座長:石黒 幸枝(米原市地域包括医療福祉センターふくしあ)、菅野 亜紀(東京歯科大学短期大学 歯科衛生学科)

[SY5-4] 在宅歯科医療の現場において訪問歯科衛生士に求められること

○川野 麻子1 (1. 口腔栄養サポートチーム レインボー)

【略歴】
1992年:
実践女子大学 文学部美学美術史学科 卒業
2012年:
アポロ歯科衛生士専門学校 卒業
2012年~2017年:
都内 歯科診療所 勤務
訪問診療に従事
2017年:
口腔栄養サポートチーム レインボー 参加

口腔栄養サポートチーム レインボーは、フリーランスの歯科衛生士と管理栄養士の2職種からなる“食を支える“グループである。①居宅療養管理指導(訪問衛生指導)による訪問活動、②介護者への支援、③口腔健康管理の必要性とその方法、および適切な栄養摂取の必要性などの啓発活動、という3点を主な軸として日々活動に励んでいる。

 レインボー所属の歯科衛生士は地域の複数の歯科医院と非常勤雇用契約を結び、歯科医師の指示のもと患者宅を訪問している。この訪問活動の中、フリーランスの強みを生かし、在宅療養者やその家族の声に耳を傾けてより深く生活に寄り添うことが、歯科衛生士としてのやりがいにつながっている。

 食べる楽しみ、コミュニケーションの維持は在宅療養者にとって、生きる意欲に直結しQOL向上に大きな影響を及ぼしている。また、たとえ口から食べられなくなっても、歯科治療が困難になっても、最期を迎える時まで口腔環境を良好な状態を保つことがその人の尊厳を守ることになる。昨今、口腔健康管理の観点から、食支援を担う医科・歯科・介護との多職種連携協働の必要性は高まっている。

老年歯科分野に携わる歯科衛生士には歯科の知識はもちろんのこと、全身疾患の知識および要介護高齢者の生活を診る視点を持つことが求められる。今回のシンポジウムでは深く関わってきた在宅療養者やその家族から受け止めてきた不安や要望をお示しする。また、他職種と連携協働することで歯科と医科、介護との架け橋になる訪問歯科衛生士の可能性をお伝えしたい。

今回のシンポジウムを通じ、在宅療養生活を支えるチームの一員としての歯科衛生士の存在意義を考えるきっかけになれば幸いである。(COI 開示なし)