一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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口腔機能

[P一般-040] 後期高齢者におけるセルフチェック表によるオーラルフレイルの頻度

○福武 元良1、高橋 利士1、三原 佑介1、八田 昂大1、西村 優一1、佐藤 仁美1、室谷 有紀1、萩野 弘将1、東 孝太郎1、池邉 一典1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野)

【目的】

 高齢者の健康寿命の延伸のために,オーラルフレイルのリスクを早期に発見し,口腔機能の低下を防ぐことが重要である。しかし,昨今のコロナ禍により,高齢者の歯科医院への受診が減少し,口に関するトラブルの増加が懸念される。そこで本研究では,高齢者を対象に郵送調査を行い,オーラルフレイルのリスクの実態を調査した。

【方法】

 本研究はSONIC study参加者の80歳群(79~81歳)623名,90歳群(88~90歳)407名の計1030名(男性471名,女性559名)を対象とした。口に関するトラブルを把握するために,東京大学高齢社会総合研究機構の田中らが発案した「オーラルフレイルのセルフチェック表」を使用し、2021年8月に研究参加者に郵送し,回答を集計した。セルフチェック表にある8つの質問項目の合計点数が0~2点,3点,4点以上をそれぞれオーラルフレイルの危険性が低い,危険性あり,危険性が高いと分類した。統計学的解析として,オーラルフレイルのリスクと歯数,性別,年齢群との関連を検討するために,多項ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%とした。

【結果と考察】

 調査の結果,オーラルフレイルの3分類のうち,危険性が低い,危険性あり,危険性が高いに該当する者は,男性でそれぞれ147名(31.2%),84名(17.8%),240名(51.0%),女性でそれぞれ155名(27.7%),91名(16.3%),313名(56.0%)であった。年齢別では,80歳群でそれぞれ226名(36.3%),105名(16.8%),292名(46.9%),90歳群でそれぞれ76名(18.7%),70名(17.2%),261名(64.1%)であった。 “危険性が低い”を参照カテゴリとした多項ロジスティック回帰分析の結果,“危険性あり”,“危険性が高い”ともに歯数(危険性あり:オッズ比=0.91,危険性が高い:オッズ比=0.86)と年齢群(危険性あり:オッズ比=0.64,危険性が高い:オッズ比=0.57)で有意な関連をみとめた。

以上の結果より,歯数が少ない者,もしくはより高齢の者の方が,オーラルフレイルのリスクが高くなることが明らかとなった。

(COI開示:なし)
(大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号H27-E4)