The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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一般部門

[P一般-002] 唾液腺老化における遺伝子/miRNAの網羅的発現解析

○吉田 清美1、Bhawal Ujjal2 (1. 日本大学松戸歯学部麻酔学講座、2. 日本大学松戸歯学部生化学・分子生物学講座)

「目的」 

 基礎疾患を有する高齢者は、薬剤の服用などにより口腔機能の低下が引き起こされることがあり、口腔乾燥の頻度が高く、QOLの低下に直結する。加齢は口腔乾燥などの唾液腺の機能低下に影響を及ぼすが、その具体的なメカニズムは明らかでない。本研究の目的は、加齢における唾液腺のmiRNA発現を解析し、miRNA標的遺伝子を同定し、口腔乾燥における新たな要因を構築する。

「材料および方法」 

 生後3ヶ月齢および加齢モデルの24ヶ月齢のC57BL / 6マウスを使用し、H-E染色、マッソントリクロム染色および免疫染色法で解析した。トータルRNAを唾液腺組織から分離し、遺伝子発現およびmiRNA発現所見は、GeneSpringおよびIngenuity Pathways Analysisと組み合わせ、DNAマイクロアレイおよびmiRNAアレイを用いて解析した。

「結果と考察」 

 生後3ヶ月齢マウスと比較して、生後24ヶ月齢マウスでは、顎下腺において少数の腺房細胞萎縮、細胞質の空胞化が見られ、唾液腺の形態異常が示唆された。マッソントリクロム染色ではわずかではあるが、線維化が見られた。免疫染色において、Type 1コラーゲン、MMP-2は24ヶ月齢マウス顎下腺と耳下腺ともに、それらの発現増加が認められた。CCl-22、活性酸素8-OHDGともに24ヶ月齢マウスで顎下腺と耳下腺ともにそれらの発現増加が確認されたが、p63は減少傾向を示した。蛍光染色において、顎下腺と耳下腺ともに、24ヶ月齢マウスでAQP5とαSMAの発現低下が確認できた。シグナル経路で、cAMP媒介シグナル、上皮接着結合シグナル、タイトジャンクションシグナル、ギャップジャンクションシグナル、およびカルシウムシグナルが唾液腺老化に関与していることも明らかにした。RT-qPCRによりさらに解析したところ、bHLH型転写因子Dec1が、miR-34a-5p、miR-92a-3p、miR-181a-5pおよびmiR-550a-3pの制御に関与していることを示した。多数の組み合わせが識別されたmRNAとmiRNAの網羅的解析は、miRNAの異常発現が唾液腺加齢において重要であることを示唆した。その機能は関連シグナル上の特定遺伝子の転写を通して誘導されることが考えられた。(動物実験倫理委員会承認 承認番号AP17MD020-2号)