The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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一般部門

[P一般-013] タブレットを用いて撮影した口腔内動画による口腔環境評価の有用性

○鈴木 啓之1、古屋 純一2,3、中川 量晴3、日髙 玲奈4、吉見 佳那子3、中根 綾子3、戸原 玄3、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野、2. 昭和大学歯学部 高齢者歯科学講座、3. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、4. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 地域・福祉口腔機能管理学分野)

【目的】

 近年タブレットやスマートフォンをはじめとするスマートデバイスは急速に普及しており,医療の現場においても導入が進んでいる.このようなスマートデバイスは口腔内評価などにも応用可能であると考えられるが,報告はいまだ数少ない.そこで我々は,タブレット端末を用いて撮影した口腔内動画による口腔環境評価の有用性を検討した.

【方法】

 研究対象者は,2020年7月から12月までの間に,栄養管理目的で本学医学部附属病院Nutrition Support Team (NST)へ依頼となった意思疎通可能な入院患者18名(平均年齢73.8±13.6歳)とした.ベッドサイドにおける口腔環境評価,タブレット端末(iPad Air, Apple社,アメリカ)を使用した口腔内動画の撮影,撮影した口腔内動画を用いた口腔環境評価をそれぞれ行った.ベッドサイドおよび動画による口腔環境評価は,Oral Health Assessment Tool (OHAT)を用いて行い,十分なキャリブレーションを行った歯科医師4名が分担して行った.ベッドサイドにて評価したOHAT(以下OHAT-B)と口腔内動画にて評価したOHAT(以下OHAT-V)の一致度を評価するために級内相関係数を算出した.統計解析はSPSS Ver.27を用いた.

【結果と考察】

 研究対象者におけるOHAT-BおよびOHAT-V合計スコアの平均値はそれぞれ4.6±2.5,4.4±2.6であった.また,OHAT-B合計スコアとOHAT-V合計スコアの級内相関係数は, 0.786であり,両者の一致度は良好であった.このことから,タブレット端末を用いて撮影した口腔内動画による口腔環境評価の有用性が示唆された.一方で,舌,口腔乾燥,残存歯の評価においては,OHAT-BとOHAT-Vとの間での評価が異なる傾向にあった.これは動画撮影時にペンライトを用いて口腔内を照らしていたものの十分な明るさが得られなかったなど,撮影方法に起因するものであると考えられ,より適切な撮影方法を検討する必要があると考えられた.また,本研究における動画撮影は歯科医師が実施したが,病棟などでの利用を考慮すると他職種が撮影した動画でも同様の評価が可能か検討することが今後必要であると考えられた.

(COI 開示:なし)

(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認 D2016-077)