The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-22] 当院における摂食嚥下支援チームの設立と臨床検討

○谷口 裕重1 (1. 朝日大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【はじめに】当院では,2020年3月より入院患者を対象とした摂食嚥下障害患者(嚥下障害患者)の検査・診断・リハビリテーションを中心とした臨床的介入を開始した。同年7月には歯科医師を中心とした医師,嚥下認定看護師,言語聴覚士,管理栄養士,薬剤師,歯科衛生士で構成される「摂食嚥下支援チーム(SST)」を設立し,NSTの参加は勿論のこと,難症例にも対応するため,毎週チームカンファレンスを実施し多職種で症例検討を行っている。さらに,地域連携の一環として,患者サポートセンターとSSTが中心となり「嚥下評価・訓練入院(嚥下パス)」を運用している。
【目的】今回の報告では,1年間の患者動向や介入の成果を検証するとともに今後の課題について考察する。
【結果】新患総数は110人(2021年1月25日時点,男性64人,女性46人)で,開始月は5人,計測最終月は22人であった。延べ介入数は1344人であり,開始月は7人であったが新患数増加に伴い,計測最終月は148人と徐々に増加していた。嚥下機能精査として実施したVF,VEは総試行回数96件,59件であり,検査も徐々に増加していた。紹介元は脳神経外科が23人,呼吸器内科が22人と最も多く,循環器内科14人,口腔外科12人,消化器内科12人の順であった。原因疾患の内訳は呼吸器疾患(主に誤嚥性肺炎)が35人と最も多く,次いで脳血管疾患が27人,頭頸部腫瘍12人,廃用症候群11人であったが,嚥下パスでの入院は僅か4人であった。SST介入後に肺炎を発症した患者は1人であり,疾患によって差異はあるものの,入院時と比較し転院・退院時のFOIS,藤島の嚥下グレードは改善していた。
【考察】本調査によって,1年間の活動で,歯科医師が中心となった摂食嚥下リハビリテーションおよびSSTの活動が徐々に認知されてきたことが示唆された。しかしながら,当院では,嚥下障害患者のピックアップを看護師が簡易的なスクリーニングで行っているため,嚥下障害患者は潜在していると推察される。今後は,スタッフのスキルアップやチームアプローチの充実化が必要と思われる。さらに,地域に潜在する嚥下障害患者を拾い上げるため,「病診連携」および 「病病連携」を推進するとともに,地域共生社会を実現するために退院・転院後の地域連携をさらに進めていくことを課題として考えている。