The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-36] 某特別養護老人ホームにおける摂食機能評価の取り組みについて

○佐々木 力丸1 (1. 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科)

【目的】令和2年の診療報酬改定において、質の高い在宅医療の確保が推進され、歯科は、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進が提言された。発表者は摂食機能療法専門歯科医師として、施設や在宅等の摂食嚥下障害患者に対し、摂食機能評価や嚥下内視鏡検査(以下、VE)を用いた検査を行う事で、適切な食形態や食環境を提案し、安全な経口摂取を維持していくような食支援に携わっている。現在介入している某特別養護老人ホームでは、歯科診療で介入している訪問歯科と摂食機能評価専門歯科医が協力し、ミールランド、カンファレンスを実施している。今回、摂食機能評価専門歯科医師の施設における取り組みについて報告を行う。
【方法】対象は特別養護老人ホーム(定員95名)に入居していた要介護高齢者である。2015年3月から2020年12月までの依頼件数はミールラウンドは延べ769名、VEは93名であった。摂食機能評価専門歯科医師は摂食機能評価後、訪問歯科医師に歯科的な介入(歯科治療、嚥下訓練、口腔ケア)を依頼し、その効果を月一回の摂食機能評価時に行ってきた。介入当初の対象者は、体重低下や食事が摂れないといった依頼内容が多く、適切な食形態や食環境の提案が主であったが、徐々に経口移行や看取りへの取り組みといった依頼が増加した。以下に代表的な連携事例について示す。初診時71歳女性、クモ膜下出血後遺症で栄養経路が胃瘻であり、主訴は経口摂取希望であった。外部観察評価、VEを行い、段階的に経口摂取を開始した。機能訓練は、施設の看護師や介護スタッフ、訪問歯科に依頼した。継続的な介入により、一部経口摂取を行うことが可能となった。看取りの症例としては、初診時85歳男性、脳出血後遺症により左麻痺があり、施設入所時より嚥下機能の評価を行い、自力摂取を継続していた。定期評価を行う中で認知機能や身体機能の低下に伴い徐々に食事摂取が困難となり、機能減退に合わせた食形態、食環境を提案し最期まで経口摂取を継続することが出来た。本人やその家族、関わりのあった施設職員の満足いく食支援が出来たと考える。
【結果と考察】施設における食支援の効果は、摂食機能評価専門歯科医師のみでは限定的であり施設職員や頻回に訪問を行う訪問歯科と協力することで、施設入所者の生活に配慮したより効果的な食支援が可能であった。COI開示:なし