The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-37] 歯科を併設していない急性期病院におけるシームレスな病診連携を確立するための取組み

○高橋 賢晃1 (1. 日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科)

【目的】
 急性期病院に入院する患者は、全身状態に加えて口腔清掃状態が不良な者が多く認められる。さらに、歯科的介入が十分に得られない場合、口腔内状態が悪化していくことが予想される。また、退院時における歯科関連の情報提供がされない場合、全身疾患に伴う歯科治療のリスクが不明であるため、転院先で必要な治療が行われない可能性もある。よって、急性期病院における歯科的介入は、その後の回復期、維持期におけるシームレスな口腔機能管理に不可欠である。今回、歯科を併設していない急性期病院(病院)の患者に対して入院期間中の積極的な歯科介入を行い、病院における歯科の役割と地域歯科診療所とのシームレスな連携を確立するための取組みについて症例を通じて報告する。
【方法】
 対象は、2019年4月から12月の間に都内某急性期病院の主治医より歯科治療の依頼を受けて訪問診療を行った入院患者81名(男性55名、女性26名、平均72.1±13.4歳)である。診療録をもとに紹介経路、処置内容について調査し、今後の課題について検討した。
【結果と考察】
 依頼件数を診療科別でみると循環器内科が27名(33%)と最も多かった。治療内容としては、義歯関連が33名(40%)と最も多く、以下、口腔内診査、抜歯、暫間固定であった。
 次に、期間内に経験した症例を示す。70代男性、循環器内科主治医より心房細動に対するカテーテル治療前の口腔内診査を依頼された。口腔内所見として、残存歯数は7歯、アイヒナー分類C1、口腔清掃状態は不良であり、全顎的に歯石沈着、中等度の歯肉発赤が認められた。上下顎残存歯は動揺度Ⅱ~Ⅲであった。手術までの期間が2週間であったため、当科外来受診による積極的な歯科治療を計画した。動揺歯は、脱落、感染リスクとなるため抜歯を施行、除石とブラッシング指導を行った。退院後、咬合支持の回復のため上下義歯製作し、咀嚼能力の改善が認められた。本症例では、術前からの歯科介入により入院期間中のリスク因子を効果的に減少させ、早期の退院に寄与した。また、情報共有を含めた主治医との連携により術前に必要な治療を行うことが可能であった。一方で、退院後のかかりつけ歯科への情報提供は十分に行えておらず、シームレスな病診連携の確立が今後の課題であった。これらの問題を解決するために退院後の診療情報提供システムの構築に取組んでいる。COI開示:なし