一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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教育

[P一般-065] オンラインPBL (Problem Based Learning)よる高齢者・在宅歯科治療学の臨床実習

○宇佐美 博志1、村上 弘1、竹内 一夫1、水野 辰哉1、宮前 真1、高濱 豊1、加藤 大輔1、上野 温子1、山口 大輔1、瀧井 泉美1、宮本 佳宏1 (1. 愛知学院大学歯学部 高齢者・在宅歯科医療学講座)

【目的】  
 本学での高齢者・在宅歯科治療学の臨床実習では,特養と老健施設の臨地実習を行なっていた.しかしCOVID-19の感染対策にともない感染リスクの高い高齢者施設への実習が見送られることになり,臨地実習の代替手段としてオンラインによる実習を行った.従来は対面で行われていたPBLのオンライン化は,時間と場所を問わない新たな学習活動になると提案され,医科で実践されていた.そこで,高齢者マネキン等の視覚素材によるWeb会議機能を利用したPBLを行い,従来の臨地実習と比べ教員と学生からの感想および運営おける改善点について検討したので報告する.
【方法】  
 対象は臨床実習5年次学生106名の10班編制で,期間は令和2年7月からの半年間である.実習はMicrosoft Teamsを用いて,参加者のマイクをオン,カメラをオフにして行なった.シナリオは高齢者の社会的・環境因子,身体的因子,心理的因子および口腔内状態を中心に構成した.マネキンにはマナボット(ニッシン)と自走式車椅子および介助式車椅子を用いて外来通院患者,居宅療養患者を模した.口腔内の状態は義歯,冠ダツリ,残根・根面カリエスなどの模した模型を組み合わせた.口腔内の情報と整合性のあるパノラマエックス線画像を作製し班のファイルにシナリオシートとしてアップロードした.実習は,チュータ-が学生にプロダクトの作製のため,オンラインでのMicrosoft Wordの共有操作について事前に説明し文面を画面共有した.チュータ-はマイクをオフにしたことを発言し討論のサポートに備えた.最後にプロダクトの発表をおこなった.
【結果と考察】
 具体的なシナリオ設定は,患者背景,口腔内状態,義歯の有無,車椅子,マナボット,X線画像の組み合わせにより4種類を制作した.Wordの画面共有に通信環境による支障はなく,槌打音が生ずるタッチペン入力よりもキーボード操作のできる端末が望ましかった.学生からは,シナリオとWord画面を同時に視認するため複数の通信端末を必要とすることについて指摘があった.また,咬耗や残根などはPBL終了後に追加学習の要望がありミニレクチャーを行った.教員からは,他職種を配役としたシナリオ制作と感染対策を行い実際の素材提示の必要性があげられた.総括では,今後の臨地実習再開の際の事前実習として有用との感想があった.(COI開示:なし)