一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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一般演題(ポスター)

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実態調査

[P一般-050] 都市部在住認知症高齢者に対する訪問口腔調査1~社会的孤立状態の人へのアプローチ~

○枝広 あや子1、本橋 佳子1、宇良 千秋1、高橋 知佳1、目黒 郁美2、高城 大輔3、紙本 千晶4、深澤 佳世5、木元 あすか6、星野 大地7 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所、2. 日本大学大学院松戸歯学研究科歯学専攻 有床義歯補綴学、3. ひまわり歯科、4. 曙橋歯科、5. 新宿医療専門学校、6. 板橋区立志村健康福祉センター、7. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座 地域連携歯科学部門)

【目的】

大都市に暮らす高齢者の認知症有病率調査を通して、来場型調査に参加しない人こそが社会的孤立状態にあり、支援を必要とするものである実態が得られた。社会的孤立状態にある人に対し自宅における訪問調査により口腔の状態を評価した。

【方法】

2016年に行った認知症有病率調査(対象者7614名のうち認知機能検査実施2020名)において認知機能が低下し社会的孤立状態にあって支援調整の必要な人(2016年当時198名)に対し2017年から継続的介入を行ってきた(以下、対象者)。2019年より対象者の転帰調査を行ったうえで(地域在住126名)、精神科医の訪問調査を行いそれに継続して2020年に訪問口腔調査を行った。訪問調査では、精神科医による認知機能検査、認知症重症度(CDR)等の評価、さらに歯科医師による口腔機能評価、栄養状態(MNA)等を行った。対象者には調査遂行の為に郵送と電話による日程確認等の連絡を計5回実施し、調査後はフィードバックに加え必要な医療介護等へのコーディネートを行った。結果についてCDRにより認知症なし群、認知症軽度群、認知症中等度以上群に分けて群間比較を行った。

【結果と考察】

精神科医の訪問が実施された89名に対し、訪問口腔調査は2019年12月に開始され、2020年3月までに45名、2020年7月から9月に30名を加え計75名に調査がなされた。脱落者の内訳は転居等連絡付かず(1名)、入院・入所・死亡転帰(5名)、拒否(8名)であった。認知症重度群で有意にMNAが低値であり(P=0.012)、一年以内に専門的口腔清掃を受けておらず(P=0.023)、ガーグリングが不十分で(P=0.032)、嗅覚低下の自覚があり(P=0.026)、さらにすべての群で咀嚼機能低下があった。社会的孤立状態にある人で認知機能低下があるほど、不十分な口腔状態と低栄養傾向が放置され、合理的配慮を受けられていない状態になっており、積極的な社会的障壁への介入が必要である。

(東京都健康長寿医療センター研究所倫理委員会承認番号 元健イ事第3146号)(COI開示:なし)