The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

優秀ポスター

Live配信抄録 » 優秀ポスター

一般部門

Sat. Jun 12, 2021 9:00 AM - 10:00 AM Line B (ライブ配信)

[優秀P一般-01] 離床する要介護高齢者は筋肉量,生活の質および摂食嚥下機能が維持されるか

○石井 美紀1、中川 量晴1、吉見 佳那子1、奥村 拓真1、長谷川 翔平1、原 豪志1、山口 浩平1、中根 綾子1、玉井 斗萌1、長澤 祐季1、吉澤 彰1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
要介護高齢者の離床時間が長いと生活機能が維持されるという報告があるが,離床時間と筋肉量,摂食嚥下機能の関連の調査は不十分である。また,筋肉量および生活機能維持は生活の質の向上が目的であるが,離床時間と生活の質の関連はあまり検証されていない。そこで,本研究では要介護高齢者を対象に離床時間と全身の筋肉量および生活の質,摂食嚥下機能の関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
東京医科歯科大学から居宅,施設へ訪問診療を行う要介護3以上の高齢者を対象とした。年齢,性別,身長,体重,要介護度,既往歴,服薬種類数,離床時間,外出の有無を聴取し, Body Mass Index,チャ―ルソン併存疾患指数を算出した。筋肉量はInBodyS10(InBody Japan社)を用いて生体インピーダンス法にて測定し,四肢骨格筋指数,体幹筋指数を算出した。生活の質は短縮版QOL-D調査票を用いて陽性感情および陰性感情を総合的に評価した。摂食嚥下機能は機能的経口摂取スケール,摂食嚥下障害臨床的重症度分類にて評価した。離床時間が0~4時間(short :S),4~6時間(middle :M),6時間以上(long :L)の3群に分け,各項目について3群に相違があるか統計学的に検討した。
【結果と考察】
データが揃っている70名のうち,測定中の体動等の理由によりInBodyS10の測定が不正確なものを除外した結果60名(男性21名,女性39名,平均年齢84.3±9.2歳,S群,M群,L群は各19名,21名,20名)であった。四肢骨格筋指数はS群よりM群およびL群が有意に高値で,体幹筋指数はS群よりL群で有意に高値を示した。短縮版QOL-D調査票全体のスコアと陽性感情はS群およびM群よりL群で有意に高値を示した。外出の有無について,S群とL群間,M群とL群間で有意差を認めた。機能的経口摂取スケール,摂食嚥下障害臨床的重症度分類はS群よりL群で有意に良い結果となった。以上より,四肢骨格筋量は4時間以上離床すると維持しやすく,体幹筋量を保つためには6時間の離床が必要であると考えられた。また,6時間離床する者は外出でき生活の質が高い傾向にあり,摂食嚥下機能が良い可能性が示された。
(COI 開示:なし)
(東京医科歯科大学 倫理審査委員会承認番号:D2018-015)