The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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優秀ポスター

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一般部門

Sat. Jun 12, 2021 9:00 AM - 10:00 AM Line B (ライブ配信)

[優秀P一般-02] 回復期脳卒中患者への義歯補綴治療は栄養状態とADLの改善に関連する―第一報:入院時経口摂取患者―

○山口 喜一郎1、二宮 静香1、原田 真澄1、久保田 智彦1、平塚 正雄1 (1. 福岡リハビリテーション病院歯科)

【目的】
 咬合支持域の欠損は咀嚼力を低下させ,栄養状態や身体機能に影響を与えることが知られている。しかし,回復期脳卒中患者を対象とした義歯補綴治療による咬合支持回復の効果に対する報告はない。そこで,回復期脳卒中患者における義歯補綴治療が栄養状態およびActivities of Daily Living(以下,ADL)に与える影響を明らかにするために本研究を行った。
【方法】
 2018年5月から2年間に入院した,義歯補綴治療が必要な咬合支持域欠損を有する経口摂取の回復期脳卒中患者131名(年齢75±10.0歳,男性69名)を対象とした。義歯補綴治療を行った患者(介入群)と行わなかった患者(非介入群)に分けて栄養状態とADLの指標を比較した。評価項目は,患者特性,食形態,栄養評価をGeriatric Nutritional Risk Index (以下,GNRI),ADL評価をFunctional Independence Measure (以下,FIM)とした。単変量解析では,χ2検定,t検定,Mann–WhitneyのU検定およびWilcoxon検定を用いた。また多変量解析では,義歯補綴治療がADL改善に与える影響について,FIM運動利得の中央値(16点)を基準に2値に変換して目的変数とした二項ロジスティク解析,栄養改善に与える影響について,退院時GNRIを目的変数とした重回帰分析(Stepwise法)を実施した。いずれの検定も有意確率5%未満を有意差ありとした。
【結果と考察】
 GNRI,FIM運動利得およびFIM合計利得において介入群で高値を示した(p<0.05)。FIM運動利得を目的変数としたロジスティク回帰分析結果では,義歯補綴治療の有無(オッズ比2.25,95%信頼区間1.02-4.96,p=0.04),年齢,入院時FIM運動がFIM運動利得改善に関連していた。また退院時GNRIを目的変数とした重回帰分析では義歯補綴治療の有無(標準偏回帰係数β=0.181),年齢(β=-0.174),入院時GNRI(β=0.688)が独立した要因として退院時の栄養改善に関連していた。以上のことから,咬合支持域欠損を有する回復期脳卒中患者では歯科が義歯補綴治療を行う重要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(福岡リハビリテーション病院倫理員会承認番号 FRH 2019-M-003)