[優秀P衛生-02] 回復期リハビリテーション病棟における高齢脳卒中患者のADL帰結と舌圧に関する調査
【目的】
脳卒中リハビリテーション(以下:リハ)ではADLを改善し,自宅復帰をアウトカムとした医療が行われている。特に回復期リハ病棟ではADL帰結の予測が必要になるため入院早期からのADL評価や栄養状態の評価が行われる。しかし回復期高齢脳卒中患者のADL帰結と口腔機能との関連性に関する報告は少ない。そこで本研究ではADL帰結と口腔機能の指標である舌圧との関連性を明らかにする目的で調査した。
【方法】
対象は2018年9月~2020年7月までの期間に回復期リハ病棟を退院した43名(平均年齢79.6±7.6,男性27名)とした。口腔機能は舌圧,Tongue Coating Index (以下:TCI),口腔湿潤度および Oral Health Assessment Tool日本語版(OHAT-J)を評価した。主病名,入退院時のFunctional Independence Measure(FIM),栄養方法,栄養状態および自宅復帰の有無については電子カルテより情報を抽出した。栄養状態はGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)などにより評価した。解析は退院直近のFIM運動項目が50点未満であったものを重症群,50点以上であったものを非重症群として評価項目を比較した。統計処理はt-検定,Mann-Whitney U検定,カイ二乗検定およびSpearmanの順位相関係数を用いた。統計学的有意水準はp<0.05とした。本研究は当病院医療倫理委員会の承認を得て,後ろ向き調査で行なった。
【結果と考察】
舌圧は入退院時ともに重症群でそれぞれ有意に低値(p<0.01)を示した。ADL帰結の指標であるFIM利得は重症群で有意に低値(p<0.01)を示し,自宅復帰率も重症群で有意に低下した(p<0.05)。入院時の舌圧は退院時FIM合計(ρ=0.51),FIM利得(ρ=0.50)とそれぞれ相関関係(p<0.01)が認められた。舌圧は身体機能との関連性が先行研究で報告されているが,回復期高齢脳卒中患者においても関連性が示された。ADLが低下した重症の回復期高齢脳卒中患者では舌圧の低下が示唆されたことから,舌圧評価を含めたオーラルマネジメントが必要である。
(COI開示:なし)
(福岡リハビリテ-ション病院医療倫理委員会承認番号FRH2020-D-001)
脳卒中リハビリテーション(以下:リハ)ではADLを改善し,自宅復帰をアウトカムとした医療が行われている。特に回復期リハ病棟ではADL帰結の予測が必要になるため入院早期からのADL評価や栄養状態の評価が行われる。しかし回復期高齢脳卒中患者のADL帰結と口腔機能との関連性に関する報告は少ない。そこで本研究ではADL帰結と口腔機能の指標である舌圧との関連性を明らかにする目的で調査した。
【方法】
対象は2018年9月~2020年7月までの期間に回復期リハ病棟を退院した43名(平均年齢79.6±7.6,男性27名)とした。口腔機能は舌圧,Tongue Coating Index (以下:TCI),口腔湿潤度および Oral Health Assessment Tool日本語版(OHAT-J)を評価した。主病名,入退院時のFunctional Independence Measure(FIM),栄養方法,栄養状態および自宅復帰の有無については電子カルテより情報を抽出した。栄養状態はGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)などにより評価した。解析は退院直近のFIM運動項目が50点未満であったものを重症群,50点以上であったものを非重症群として評価項目を比較した。統計処理はt-検定,Mann-Whitney U検定,カイ二乗検定およびSpearmanの順位相関係数を用いた。統計学的有意水準はp<0.05とした。本研究は当病院医療倫理委員会の承認を得て,後ろ向き調査で行なった。
【結果と考察】
舌圧は入退院時ともに重症群でそれぞれ有意に低値(p<0.01)を示した。ADL帰結の指標であるFIM利得は重症群で有意に低値(p<0.01)を示し,自宅復帰率も重症群で有意に低下した(p<0.05)。入院時の舌圧は退院時FIM合計(ρ=0.51),FIM利得(ρ=0.50)とそれぞれ相関関係(p<0.01)が認められた。舌圧は身体機能との関連性が先行研究で報告されているが,回復期高齢脳卒中患者においても関連性が示された。ADLが低下した重症の回復期高齢脳卒中患者では舌圧の低下が示唆されたことから,舌圧評価を含めたオーラルマネジメントが必要である。
(COI開示:なし)
(福岡リハビリテ-ション病院医療倫理委員会承認番号FRH2020-D-001)