[SSY-2] 人生100年時代に向けて小児期から実践すべき歯科戦略について
【略歴】
1986年 日本大学松戸歯学部 卒業
1992年 ~ 1994年 日本大学長期海外派遣研究員 ジャクソン研究所(米国)
1994年 ~ 1997年 日本大学専任講師(小児歯科学)
1997年 ~ 2001年 日本大学准教授(小児歯科学)
2001年 ~ 現職 鶴見大学歯学部小児歯科学講座 主任教授
(主な社会活動)
2004年 ~ 現在 公益社団法人日本小児歯科学会 常務理事
2006年 ~ 現在 日本学術会議(内閣府)連携会員・歯学委員会委員
2008年 ~ 2012年 公益社団法人日本小児歯科学会 理事長
2011年 ~ 2019年 日本歯科医学会理事・評議員
2012年 ~ 2016年 鶴見大学歯学部附属病院 病院長
2020年 ~ 現在 日本学校歯科医会 口腔機能発達不全に関する調査研究委員会 委員長
2020年 ~ 現在 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 理事
1986年 日本大学松戸歯学部 卒業
1992年 ~ 1994年 日本大学長期海外派遣研究員 ジャクソン研究所(米国)
1994年 ~ 1997年 日本大学専任講師(小児歯科学)
1997年 ~ 2001年 日本大学准教授(小児歯科学)
2001年 ~ 現職 鶴見大学歯学部小児歯科学講座 主任教授
(主な社会活動)
2004年 ~ 現在 公益社団法人日本小児歯科学会 常務理事
2006年 ~ 現在 日本学術会議(内閣府)連携会員・歯学委員会委員
2008年 ~ 2012年 公益社団法人日本小児歯科学会 理事長
2011年 ~ 2019年 日本歯科医学会理事・評議員
2012年 ~ 2016年 鶴見大学歯学部附属病院 病院長
2020年 ~ 現在 日本学校歯科医会 口腔機能発達不全に関する調査研究委員会 委員長
2020年 ~ 現在 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 理事
高齢期における口腔機能の低下は、口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能を基に評価し、これらのうち3項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断される。口腔機能低下症とは、加齢だけではなく疾患や障害などの様々な要因によって、口腔の機能が複合的に低下している状態であり、進行すると咀嚼機能不全、摂食嚥下障害が生じ、その結果として栄養障害により全身の筋力が低下して要介護状態に陥ることになる。すなわち、高齢期における口腔機能の低下を少しでも防止することこそ、人生100年時代を豊かなものにすることができる。高齢期における口腔機能の低下を少しでも防止するには、小児期から成人期に至る過程で、如何に口腔機能の発達を促し、維持・向上させていくかがカギとなる。まさに、小児期は口腔機能の獲得・発達期であり、歯科的支援を必要とする重要な時期である。
近年、小児の齲蝕有病者率の低下や齲蝕の軽症化が顕著となり、疾病対応から口腔機能の育成に目が向けられるようになった。小児における口腔機能とは、咀嚼機能、嚥下機能、構音機能を指し、乳幼児期からの歯科的支援が必要であるにも関わらず、疾患対応の保険制度の中では十分な対応ができなかった。しかし、平成30年に健常な子ども達を対象に、『「食べる機能」、「話す機能」、または「呼吸する機能」が十分に発達していないか、正常(定型的)に機能獲得ができていない状態で、明らかな摂食機能障害の原因疾患を有さず、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態』を口腔機能発達不全症と定義し、保険収載された。そこで、口腔機能発達不全症という診断のもと、乳幼児期からの口腔機能の育成に積極的に関わることが可能となった。小児の口腔機能は、自然に備わるものではなく、学習により身に付くものであり、健全な育成を図るためには適切なタイミングに的確な支援ができるかがポイントになる。
小児期から実践すべき歯科的戦略とは、子ども達の口腔健康へのアプローチが、疾病対応から口腔機能の育成にパラダイムシフトしていることを、歯科医療従事者間で情報を共有し共通認識をもつことと国民に周知することである。具体的な方略としては、①公的歯科健康診断の中で、子どもが抱える口腔機能の問題を的確に捉え、保護者への支援に結びつけることが出来るか、②口腔機能に問題を抱える児童をスクリーニングするための学校歯科健康診断の充実ならびに学校歯科医とかかりつけ歯科医の連携強化が求められる。さらに、人生100年時代を見据えた小児期からの口腔機能の育成を支援するには、多職種協働が不可欠である。
近年、小児の齲蝕有病者率の低下や齲蝕の軽症化が顕著となり、疾病対応から口腔機能の育成に目が向けられるようになった。小児における口腔機能とは、咀嚼機能、嚥下機能、構音機能を指し、乳幼児期からの歯科的支援が必要であるにも関わらず、疾患対応の保険制度の中では十分な対応ができなかった。しかし、平成30年に健常な子ども達を対象に、『「食べる機能」、「話す機能」、または「呼吸する機能」が十分に発達していないか、正常(定型的)に機能獲得ができていない状態で、明らかな摂食機能障害の原因疾患を有さず、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態』を口腔機能発達不全症と定義し、保険収載された。そこで、口腔機能発達不全症という診断のもと、乳幼児期からの口腔機能の育成に積極的に関わることが可能となった。小児の口腔機能は、自然に備わるものではなく、学習により身に付くものであり、健全な育成を図るためには適切なタイミングに的確な支援ができるかがポイントになる。
小児期から実践すべき歯科的戦略とは、子ども達の口腔健康へのアプローチが、疾病対応から口腔機能の育成にパラダイムシフトしていることを、歯科医療従事者間で情報を共有し共通認識をもつことと国民に周知することである。具体的な方略としては、①公的歯科健康診断の中で、子どもが抱える口腔機能の問題を的確に捉え、保護者への支援に結びつけることが出来るか、②口腔機能に問題を抱える児童をスクリーニングするための学校歯科健康診断の充実ならびに学校歯科医とかかりつけ歯科医の連携強化が求められる。さらに、人生100年時代を見据えた小児期からの口腔機能の育成を支援するには、多職種協働が不可欠である。