The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター3

Fri. Jun 10, 2022 3:15 PM - 4:45 PM 認定医審査ポスター3 (りゅーとぴあ 2F スタジオAホワイエ)

[認定P-16] 訓練実施体制の構築により重度嚥下障害患者に対し安全な摂食嚥下リハビリテーションを行うことができた症例

○長谷川 翔平、戸原 玄 (東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【緒言】
 摂食嚥下機能のリハビリテーション計画は,しばしば患者自身の残存機能だけでなく適切な訓練を実施できる体制の有無により制限を受ける.しかし,このような体制の構築に画一的な方法はなく,患者ごとに模索する必要がある.我々は,訪問診療に移行することで多職種との密な連携および居宅の環境にあった指導を行うことができた一例を経験したので報告する.
【症例】
87歳男性.「食べられるようになりたい」という主訴で,かかりつけの病院より紹介来院した.誤嚥性肺炎の既往あり.重度の食道入口部開大不全による経口摂取困難であり,初診時(20XX-3年12月)には既に胃ろうが造設されていた.
上肢下肢の動作は緩慢であるもののADLはほぼ自立である.発話は明瞭で嗄声は認めない.胃酸抑制を目的としてランソプラゾールおよび酸化マグネシウムの処方があった.往診開始時のBMIは22.3であった.
なお,本報告の発表について患者本人から文章による同意を得ている.
【経過】
初診時より継続した嚥下機能訓練を実施した結果,ペースト食の摂取を開始できるまでに機能回復を行うことができていた.しかし,20XX-1年6月に肺炎を発症し,これを契機に経口摂取を中断するよう指示.同年12月に検査を実施し,直接訓練を安全に行える方法を見つけることはできたが,厳密に実施しなければ誤嚥リスクは高い状況であると評価できた.
20XX年2月より在宅訪問診療を開始した.リクライニング80度右側臥位頸部左回旋にて,トロミ1% 2ccを5~ 10口摂取する指示で専門職同席時の直接訓練を再開した.以後,20XX年7月に胃ろう周囲の炎症のため入院加療され,一時的に直接訓練を中断した期間はあったが,それ以外では1ヶ月に1回程度の頻度で専門職,介護支援専門員同席下での往診を継続できた.20XX+1年1月現在,側臥位の姿勢は解除できており,リクライニング60度頚部左回旋にてトロミ1%を1~3ccを10口程度であれば安全に訓練として摂取できている.20XX年2月以降は肺炎は再発していない.
【考察】
全身状態が悪化している時期などがあったにも関わらず,訪問診療に移行してから肺炎の再発はしていない.これは,訪問診療に移行することで顔の見える関係を築くことができ,言語聴覚士,看護師と連携しながら適切な訓練を実施できたからであると考える.
COI開示:なし 倫理審査対象外