The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 10, 2022 5:00 PM - 6:00 PM 摂食P2 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[摂食審査P-07] 咽頭後リンパ節郭清術後の食道入口部開大不全症例に対して姿勢調整法を用いて経口摂取開始に至った一例

○野末 真司 (昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔リハビリテーション医学講座)

【目的】
原発不明癌に対し、咽頭後リンパ節郭清術後、食道入口部開大不全を認めたため、禁食となった症例に対し、姿勢調整法にて経口摂取開始することができたため報告する。
【症例の概要と処置】
78歳の男性。要介護の認定はされてなく、ADLは自立しており、認知症の診断はない。紹介元にて2021年2月に原発不明癌、頸部リンパ節転移に対して左耳下腺癌浅葉切除、左側根治的頸部郭清術、左側咽頭後リンパ節郭清術が施行された。その後、嚥下障害を認めたため、同年3月に胃瘻造設術が施行され、術後放射線治療として60Gy照射された。治療終了後、本人が経口摂取を希望されたため、当科を紹介受診した。
初診時のスクリーニング検査にて舌圧の低下、喉頭挙上量の不足、頸部左右傾斜において制限を認めたため、胃瘻栄養開始前に舌抵抗訓練、おでこ体操、頸部ストレッチそれぞれを10秒5回ずつ行うよう指導した。しかし、本人のみでは指導内容を遵守できなかったため、キーパーソンである配偶者に訓練法を指導し、管理させた。その後、 VFにて右側傾斜左側回旋姿勢にて喉頭侵入、誤嚥は認めなかったものの、嚥下後の梨状窩残留を認めたため、前傾姿勢での排出を指導し、残留物の除去を確認しえた。そのため、直接訓練として、姿勢を遵守させ、ゼリーを用いての訓練を指導した。加えて3口に1回は前傾姿勢での排出を行うよう指導した。しかし、ゼリーの味が嗜好に合わず、訓練の実施が困難となったため、味の種類の多いペースト食を用いてVFを行った。その結果、嚥下後の梨状窩残留は認めたものの喉頭侵入、誤嚥は認めなかったため、ペースト食を訓練時に使用することを許可した。直接訓練は実施していたが、摂取姿勢を遵守できなかったことが本人の聴取で発覚したため、 キーパーソンにも再度、姿勢について指導した。その後、2週間に1回、姿勢調整法の確認と実施状況の聴取を行っているが、訓練法を遵守しており、発熱は認めていない。
【結果と考察】
排出力が十分であったことと食道入口部開大不全に対して姿勢調整法を用いることが効果的であったため、直接訓練を直ちに開始することが可能であった。しかし、本人のみでは姿勢調整の遵守が困難であったため、キー パーソンに指導内容を管理させることにより、姿勢調整を遵守させることが可能になったと考える。
この報告は患者に承諾済である。(倫理審査対象外)(COI開示無)