一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演5 加齢変化・基礎研究1

2022年6月11日(土) 16:00 〜 16:40 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:井上 誠(新潟大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O5-03] 嚥下関連筋群の疲労評価に関する基礎的検討

玉田 泰嗣1,2、○高橋 陽助1,2,3、横浜 裕太4、佐々木 誠5、鮎瀬 卓郎2,3 (1. 長崎大学病院 摂食嚥下リハビリテーションセンター、2. 長崎大学病院 特殊歯科総合治療部、3. 長崎大学病院 麻酔生体管理科、4. 岩手大学大学院 総合科学研究科 バイオ・ロボティクス分野、5. 岩手大学 理工学部 システム創成工学科)

【目的】
 高齢者への食事介助における食事摂取のペースは,介助者に一任されている場合が多い.一方で,食事の中断および食事摂取量が不十分な場合の原因は,満腹感・食事の好み・疲労等が考えられる.また,多くの高齢者では,嚥下関連筋群の生理的な筋力低下など摂食嚥下に関する予備力が低下しており,適切な食事介助には被介助者の疲労を考慮することも必要である.しかし,介助者の主観により疲労を判断することは困難であり,食事中断の原因が疲労であったとしても,被介助者の気持ちの問題が原因とされる場合もある.そこで本研究では,嚥下関連筋群の疲労の可視化を目的とし、その基礎的検討を行った.
【方法】
対象は,摂食嚥下機能の低下を認めない健常若年者5名(男性2名,女性3名,平均年齢26.6±2.1歳)とした.水3ccの嚥下後に,疲労タスクとして対象者が疲労を感じるまで唾液嚥下を反復し,その後,再度水3ccを嚥下した.その際,顎下部に装着した多チャンネル筋電計により,疲労タスク前後における水3cc嚥下時の舌骨上筋群および舌骨下筋群の筋活動を測定した.その後,MATLAB®を用いて高速フーリエ変換を行い,測定した表面筋電図の平均周波数および中央周波数を算出した.
【結果と考察】
 疲労時には,筋電図信号の振幅増大,および中央周波数が高周波数帯から低周波数帯へと移動する徐波化が観察されることが知られている.本研究では,嚥下運動においても筋電図信号の振幅増大,および徐波化が観察された.高齢者および筋疲労が表面化しやすい重症筋無力症の患者等でも検討を重ねることが必要であり,将来的には個別化医療に向けて食事介助における新たな指標および直接訓練・間接訓練の各種訓練タスクにおける回数の設定等に活用可能であると考えた.
(COI開示:なし)
(長崎大学病院倫理審査委員会承認番号 21041915)