一般口演8　口腔機能2

[O8-02] 介護老人福祉施設入所者におけるOAGによる機能障害分類とオーラルディアドコキネシス評価値との関係

○山中 大寛¹、山口 摂崇¹、武田 佳大¹、村松 真澄²、三浦 宏子³、越智 守生¹ (1. 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系クラウンブリッジ・インプラント補綴学分野、2. 札幌市立大学　看護学部、3. 北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系保健衛生学分野)

【目的】
　介護施設入所者の口腔機能は，入所期間の長期化に伴って低下する傾向にある．また，入院や転所など所在が変わることも多いため，職種間で共通利用できる評価指標が必要である．口腔機能を評価するスケールの一つとして， Oral Assessment Guide（OAG）が看護分野で広く用いられている．OAGによって評価された口腔機能を歯科的に評価した調査はほとんどなく，看護分野との口腔機能評価の共有という観点から，知見の集積が必要である．本研究では，OAGで中程度以上の機能障害に関して口腔機能の項目のうち，オーラルディアドコキネシス評価値との関係を検討することを目的とした．
【方法】
北海道内の介護老人福祉施設のうち，本研究への参加協力を得られた13施設で実施した（調査期間：平成30年7月～令和3年12月）．対象者選定基準は認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以下の女性，除外基準を重度認知症とした．対象者基本情報（年齢，内服薬数，口腔ケア自立度，口腔リハビリテーションの有無）はカルテ情報から得た．また，3名の歯科医師による口腔内評価，OAGによる評価およびオーラルディアドコキネシス評価値を評価項目とした．OAG合計点数≧12を中程度以上の機能障害群，OAG合計点数≦11を対照群とした．カテゴリーデータにはχ²検定，スケールデータにはMann-WhitneyのU検定を行い，比較検討した．
【結果と考察】
　本研究の対象者は246名（平均年齢87.9±6.4歳）であった．中程度以上の機能障害群は39名（平均年齢86.3±7.3歳），対照群は207名（平均年齢88.2±6.1歳）であった．中程度以上の機能障害群と対照群に有意差を示した項目はオーラルディアドコキネシス「タ音」の発音回数(p <0.05) および口腔ケア自立度区分であった(p<0.01). OAGでの口腔機能を評価する項目は「声」と「嚥下」だけであるが，オーラルディアドコキネシス評価値との関連性も明らかになったため，OAGが歯科領域でも活用される可能性が示唆された．（COI開示：なし）（北海道医療大学倫理審査委員会承認番号：178）