[P1-01] 在宅療養者の口腔状態はキーパーソンの介護負担感に関連するのか:混合研究法を用いた検討
【目的】
多くの要介護高齢者やその家族は住み慣れた地域での療養を望んでいる。在宅療養者に対し多職種が連携し介入する仕組みは,介護する家族等の負担低減に寄与している。一方で,口腔のケアは頻繁に行う必要があり,現在歯数の多さや不良な口腔衛生状態,認知症等による拒否が家族の介護負担感と関連することが推測される。
本研究の目的は在宅療養者の口腔状態と介護者の介護負担感との関連を検討することである。併せて症例提示をし,キーパーソンから聞き取った情報をもとに質的な検討をする。
【方法】
対象は,仙台歯科医師会在宅訪問・障害者・休日夜間歯科診療所の在宅療養患者50名(男性:20名,平均年齢:84.0±7.3歳)である。口腔保健指標は現在歯数,Tongue Coating Index(TCI)およびOral Health Assessment Tool(OHAT)とした。全身的な指標はBarthel Index(BI)および認知症の有無とした。介護負担感の評価はZarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)とし,キーパーソンより採取した。本研究は説明的順次デザインを用い,口腔保健指標およびBIとJ-ZBI_8との関連を統計学的に検討した後,キーパーソンに介護や口腔の状況について聞き取りを行うことで質的にも検討した。
【結果と考察】
量的な検討では,J-ZBI_8はBIと有意な関連を認めなかった一方,認知症の有無とは有意に関連していた。口腔保健指標は,現在歯数,TCI,OHATのいずれもJ-ZBI_8との有意な関連は認められなかった。質的な検討では, 認知症患者において,口腔の介護負担感の低減に歯科的介入が効果的であった症例がある一方,多職種介入をもっても奏功しない症例があり,量的な結果も踏まえると,認知症患者において介護負担の軽減は大きな課題であることが改めて示された。
非認知症患者においては,寝たきりで口腔衛生状態は芳しくなくとも,口腔の介護負担感の低減に歯科を含めた多職種介入が奏功した症例があり,歯科医療者が介護へ積極的に関与することの重要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会承認番号:2020-3-030)
多くの要介護高齢者やその家族は住み慣れた地域での療養を望んでいる。在宅療養者に対し多職種が連携し介入する仕組みは,介護する家族等の負担低減に寄与している。一方で,口腔のケアは頻繁に行う必要があり,現在歯数の多さや不良な口腔衛生状態,認知症等による拒否が家族の介護負担感と関連することが推測される。
本研究の目的は在宅療養者の口腔状態と介護者の介護負担感との関連を検討することである。併せて症例提示をし,キーパーソンから聞き取った情報をもとに質的な検討をする。
【方法】
対象は,仙台歯科医師会在宅訪問・障害者・休日夜間歯科診療所の在宅療養患者50名(男性:20名,平均年齢:84.0±7.3歳)である。口腔保健指標は現在歯数,Tongue Coating Index(TCI)およびOral Health Assessment Tool(OHAT)とした。全身的な指標はBarthel Index(BI)および認知症の有無とした。介護負担感の評価はZarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)とし,キーパーソンより採取した。本研究は説明的順次デザインを用い,口腔保健指標およびBIとJ-ZBI_8との関連を統計学的に検討した後,キーパーソンに介護や口腔の状況について聞き取りを行うことで質的にも検討した。
【結果と考察】
量的な検討では,J-ZBI_8はBIと有意な関連を認めなかった一方,認知症の有無とは有意に関連していた。口腔保健指標は,現在歯数,TCI,OHATのいずれもJ-ZBI_8との有意な関連は認められなかった。質的な検討では, 認知症患者において,口腔の介護負担感の低減に歯科的介入が効果的であった症例がある一方,多職種介入をもっても奏功しない症例があり,量的な結果も踏まえると,認知症患者において介護負担の軽減は大きな課題であることが改めて示された。
非認知症患者においては,寝たきりで口腔衛生状態は芳しくなくとも,口腔の介護負担感の低減に歯科を含めた多職種介入が奏功した症例があり,歯科医療者が介護へ積極的に関与することの重要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会承認番号:2020-3-030)