The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表4] 実態調査

ポスター発表4 実態調査

[P4-01] 歯科標榜のない急性期病院におけるシームレスな病診連携を確立するための取組み

○伊藤 瑞希1、高橋 賢晃1、西村 三美2、山田 幸1、仲澤 裕次郎1、駒形 悠佳1、田村 文誉1、菊谷 武1,3 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 東邦大学医療センター大橋病院、3. 日本歯科大学 大学院 生命歯学研究科 臨床口腔機能学)

【目的】
当クリニックでは、歯科標榜のない急性期病院に入院中の患者に対して歯科介入を行い、退院後、地域におけるシームレスな口腔機能管理に繋いでいく取組みを行っている。入院患者の歯科依頼のルートは、歯科衛生士による依頼と、入院後に主治医および病棟看護師から依頼を受ける流れがある。手術までの期間に余裕があり、通院が可能な場合は地域の口腔センターに依頼している。一方、ADLが低下し、通院困難な場合は、入院期間中に当クリニックによる歯科介入を行っている。今回、その取組みについて報告する。なお、本報告の発表について患者本人から口頭と文書による同意を得ている。
【方法】
対象は、2021年4月から12月の間に、都内急性期病院の主治医より依頼を受けて歯科訪問診療を行った入院患者87名(男性52名、女性35名、平均75.7歳±11.9)である。当院が介入した患者一人当たりの平均診療回数は2.9回であった。診療録をもとに紹介経路、処置内容について調査し、今後の課題について検討した。
【結果と考察】
 依頼件数を診療科別でみると循環器内科が16名(18%)と最も多く、次いで脳神経外科13名(14%)、呼吸器内科12名(13%)であった。治療内容としては、義歯関連が27名(31%)と最も多く、以下、抜歯18名(20%)、口腔内診査14名(16%)であった。
期間内に経験した症例を示す。80代男性。感染性心内膜炎で入院加療中であり、主治医より口腔内診査を歯科に依頼された。口腔内所見として、上顎前歯部が歯肉境移行部まで広範囲に即時重合レジンにより固定をされ、固定材料が原因となり残存歯周囲の歯肉が発赤、腫脹を認めた。処置内容は感染源の除去として、固定材料の除去と抜歯処置を施行した。抜歯後は即時義歯を装着し審美性や咀嚼能力の改善を図った。本症例では、歯科介入により感染性心内膜炎のリスクファクターである口腔内細菌を減少させた可能性が大きく、早期退院に寄与したと考えられた。OHATは介入前後で13から8へと改善され、口腔内環境の改善に繋がった。退院後は、入院期間中の歯科処置の内容、歯科治療時の注意点を記載した情報提供書を作成し、かかりつけ歯科での継続治療が行えるように努めた。本症例により、急性期病院における歯科介入の有用性が示された。(COI 開示:なし) (倫理審査番号:NDU-T2021-58)