The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表4] 実態調査

ポスター発表4 実態調査

[P4-02] 歯科標榜の無い地域中核病院の入院患者における歯科治療の需要について

○村田 尚道1,2、樋山 めぐみ1、江草 正彦2、岡本 佳明1 (1. 医療法人社団 湧泉会 ひまわり歯科、2. 岡山大学病院 スペシャルニーズ歯科センター)

【目的】
一般病院の80%以上には歯科標榜がなく、歯科医師不在のため、外出困難な入院中の患者に対する歯科治療には、 歯科往診や歯科訪問診療が必要である。
今回、歯科標榜の無い地域中核病院の入院患者に対して、口腔内診査を行い、歯科治療の必要性および歯科治療受診の有無について調査を行ったので報告する。
【方法】
2019年4~2020年10月の間にA病院に入院中、口腔内診査を希望された患者67名を対象に、歯科医師が診査を行なった。
診査結果より、個人情報が特定できないよう匿名化し、年齢、性別、傷病名(入院の原因疾患)、現在歯数、義歯、口腔衛生状態、治療必要性、受診状況について集計を行なった。
【結果と考察】
対象者の平均年齢は、85.6歳(中央値87.5)、男性32名・女性35名であった。入院の原因となった傷病名は、脳血管疾患(20名)が最も多く、次いで肺炎(14名)、心不全(6名)であった。現在歯数は、平均10本(中央値7.5)、義歯使用者27名であった。義歯の状態は、問題なし4名、適合不良13名、義歯破損5名、義歯不使用5名であった。口腔内の問題は、66名に見られ、歯科受診の必要性は54名認められたが、実際に歯科訪問診療や外来受診をしたものは11名であった。
本調査より、歯科診察を受けた入院患者の8割に歯科治療の必要性がみられたが、治療を希望された人は、その内の2割と少なかった。歯科のない病院では、治療のために外出して外来受診をするか、往診してもらうことが必要である。今回の対象者の多くは高齢であり、入院中に外出することは困難であった。そのため、入院中に歯科治療を受ける機会が少なく、その意識も少ないと考えられた。歯科受診の機会が無い期間が長期に及ぶと、歯科治療を諦める例が多いとの報告もあり、入院中の歯科受診の機会を継続するとともに、退院後の歯科訪問診療へと継続できる連携強化が重要と考えられた。また、地域住民に口腔内に関心を持ってもらい、治療が必要な場合には歯科受診を促せるような地域歯科保健事業が必要であると考えられた。
(COI開示:なし)
(医療法人社団湧泉会ひまわり歯科倫理診査委員会承認番号 2021003N)