[P4-08] 超高齢者の口腔健康と幸福感との関連の検討
【目的】
高齢期におけるいきがいや楽しみとして,食事や他者とのコミュニケーションは常に上位にある。口腔健康が高齢期の幸福感に与える影響は大きいと考えられるが,口腔健康と幸福感との関連について,超高齢者を対象とした研究はない。そこで本研究では,超高齢者の口腔健康と幸福感との関連について検討を行った。
【方法】
本研究の対象者は,2012年度,2015年度,2018年度のSONIC研究に新規で参加した89-91歳の自立した地域在住高齢者717名とした。口腔健康の指標として,残存歯数を用いた。参加者は,残存歯数により,2群(20本以上群,20本未満群)に分類された。幸福感の指標として,人生満足尺度(SWLS;Satisfaction With Life Scale)を用いた。SWLSは,5つの質問で構成され,得点が高いほど幸福感が高いと評価される。統計的解析には,幸福感を目的変数,残存歯数を説明変数とし,性別,地域,調査年度,教育年数,経済状況,喫煙・飲酒習慣,既往歴(がん,脳卒中),外出頻度,他者との交流頻度,認知機能,握力,性格傾向を調整変数とした重回帰分析を用いた。欠損値については,多重代入法にて補完を行った。統計学的有意水準は5%とした。
【結果と考察】
20本以上歯を有する者は,165名(23.0%)であった。SWLSを目的変数とした重回帰分析の結果,残存歯数は,幸福感に有意な関連を認めた(参照:20本未満群,20本以上群:β (標準化回帰係数) =0.11,p=0.001) 。また,性別(参照:男性,女性:β=0.16,p=0.003),調査年度(参照:2012年,2018年:β=-0.08,p=0.049),経済状況 (参照:ゆとりなし,ふつう:β=0.17,p<0.001,ゆとりあり:β=0.20,p<0.001), 認知機能(β=-0.13,p=0.001),性格傾向 (神経症傾向:β=-0.20,p<0.001,誠実性:β=0.24,p<0.001)が,SWLSに有意な関連を認めた。
本研究の結果より,超高齢者において,20本以上歯を有する者は,20本未満の者と比較して,幸福感に関わる様々な因子を調整したうえでも,幸福感が高いことが示された。
(COI開示:なし)
(大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号H22-E9,H27-E4)
高齢期におけるいきがいや楽しみとして,食事や他者とのコミュニケーションは常に上位にある。口腔健康が高齢期の幸福感に与える影響は大きいと考えられるが,口腔健康と幸福感との関連について,超高齢者を対象とした研究はない。そこで本研究では,超高齢者の口腔健康と幸福感との関連について検討を行った。
【方法】
本研究の対象者は,2012年度,2015年度,2018年度のSONIC研究に新規で参加した89-91歳の自立した地域在住高齢者717名とした。口腔健康の指標として,残存歯数を用いた。参加者は,残存歯数により,2群(20本以上群,20本未満群)に分類された。幸福感の指標として,人生満足尺度(SWLS;Satisfaction With Life Scale)を用いた。SWLSは,5つの質問で構成され,得点が高いほど幸福感が高いと評価される。統計的解析には,幸福感を目的変数,残存歯数を説明変数とし,性別,地域,調査年度,教育年数,経済状況,喫煙・飲酒習慣,既往歴(がん,脳卒中),外出頻度,他者との交流頻度,認知機能,握力,性格傾向を調整変数とした重回帰分析を用いた。欠損値については,多重代入法にて補完を行った。統計学的有意水準は5%とした。
【結果と考察】
20本以上歯を有する者は,165名(23.0%)であった。SWLSを目的変数とした重回帰分析の結果,残存歯数は,幸福感に有意な関連を認めた(参照:20本未満群,20本以上群:β (標準化回帰係数) =0.11,p=0.001) 。また,性別(参照:男性,女性:β=0.16,p=0.003),調査年度(参照:2012年,2018年:β=-0.08,p=0.049),経済状況 (参照:ゆとりなし,ふつう:β=0.17,p<0.001,ゆとりあり:β=0.20,p<0.001), 認知機能(β=-0.13,p=0.001),性格傾向 (神経症傾向:β=-0.20,p<0.001,誠実性:β=0.24,p<0.001)が,SWLSに有意な関連を認めた。
本研究の結果より,超高齢者において,20本以上歯を有する者は,20本未満の者と比較して,幸福感に関わる様々な因子を調整したうえでも,幸福感が高いことが示された。
(COI開示:なし)
(大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号H22-E9,H27-E4)