The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表4] 実態調査

ポスター発表4 実態調査

[P4-15] 多摩北部医療センター歯科口腔外科における若年層・中年層と高齢者の下顎智歯抜歯の検討

○秀島 能1、森田 奈那1,2、新 雄太1、大矢 珠美1、潮田 高志1 (1. 多摩北部医療センター歯科口腔外科、2. 東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)

【目的】
 WHOは65歳以上を高齢者と定義しており、2019年日本人の平均寿命は女性87.4歳、男性81.4歳と年々延長している。口腔外科を受診する患者も高齢化が進んできており、以前は若年での施行が多かった智歯抜歯に関しても高齢者の症例が増加している。このような背景の中、高齢者においてより安全な智歯抜歯を行うにあたり、 これまでの症例を後ろ向きに検討する必要があると考えた。
【方法】
 2018年4月より2021年3月までに当科を受診し、下顎智歯の抜歯を実施した928人1100歯(若・中年層816人970歯、高齢者112人130歯)を対象とした。年齢、性別、原因疾患、既往歴、抜歯部位、周術期管理、術後合併症、抗凝固・血栓薬服薬の有無について診療録から後ろ向きに検討し比較を行った。
【結果と考察】
 最高年齢:91歳。平均年齢は若・中年層:33.0歳、高齢者:72.2歳。性別は若・中年層: 男性302人(356本)、 女性514人(614本)、高齢者は男性55人(65本)、女性57人(65本)であった。原因疾患は、若・中年層では埋伏歯58%、智歯周囲炎31%、高齢者では智歯周囲炎66%、埋伏歯20%だった。基礎疾患は、若・中年層では呼吸器疾患、精神疾患の順に多く、高齢者は循環器疾患、代謝・内分泌疾患の順に多かった。抜歯部位はPell-Gregory分類で若・中年層、高齢者両方でClass I Position Aが多い結果であった。周術期管理は、若・中年層で局所麻酔73%、静脈内鎮静19%、全身麻酔7%であり入院下での抜歯は26%、高齢者は局所麻酔50%、静脈内鎮静41%、全身麻酔3%で入院下での抜歯は74%であった。術後合併症は、両方で7%と差はなかった。抗凝固・血栓薬の服薬割合は、高齢者が著しく多い結果であった。今回の調査で若・中年層と比較し高齢者は基礎疾患を有する割合が多く、術中の異常高血圧、術後感染、術後出血等の合併症リスクが危惧された。当科では周術期の合併症を防ぐため、抗生剤の術前投与や鎮痛薬の静脈内投与を併用した静脈内鎮静や入院下での抜歯を推奨している。 高齢者は合併症のリスクが高いと考えられていたが、今回の結果では頻度に差がなかった。合併症を抑えることができたことは適切な周術期管理が奏功したものと考える。
COI開示なし
多摩北部医療センター倫理審査委員会承認番号3-24