The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表6] 全身管理・全身疾患

ポスター発表6 全身管理・全身疾患

[P6-04] X線写真上の抜歯該当歯の歯頸部の長さが抗凝固薬服用患者の抜歯後出血に与える影響

○上田 圭織1、久保田 一政1、猪越 正直1、守澤 正幸2、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学高齢者歯科学分野、2. 千葉県)

【目的】
 本研究は、抗凝固薬服用中の有病高齢者において,X線写真上の抜歯該当歯の歯頚部の長さが抜歯後出血に与える影響について調べることを目的とした。
【方法】
 2016年8月から2020年11月末に東京医科歯科大学病院高齢者外来にて外科処置を受けた65歳以上の高齢者のうち,抗凝固薬(ワーファリン,イグザレルト,エリキュース,プラザキサ,リクシアナ)を内服中の患者を対象とした。これらの患者の抜歯後24時間以降7日以内に発生した出血を後出血と定義し,電子カルテ上で調査を行った。抜歯当日に抗凝固薬の服用をしていない症例,PT-INRが3.0以上の症例,意思の疎通が困難な症例,下顎埋伏智歯抜歯の症例は除外した。抜歯した歯の歯頚部の長さをデジタルX線写真上で計測し,抜歯窩の距離とした。抜歯した歯のX線写真上の距離の平均値について,抗凝固薬の種類と後出血の有無を要因とした二元配置分散分析とTukeyの多重比較を用いて統計学的に解析を行った。尚,本研究は東京医科歯科大学病院倫理審査委員会の承認を得ている(受付番号D2019-080)。
【結果と考察】
 本研究の包含基準を満たした抗凝固薬服用中の患者数は437名(男性:224名,女性:213 名)平均年齢81.3歳であった。二元配置分散分析の結果,イグザレルト服用中で後出血があった症例では,他の薬剤に比べて有意にX線写真上の歯頚部の長さの平均値が大きいことが明らかとなった。当院のX線写真は同一規格化されているため,本研究では抜歯した歯の歯頚部の長さをデジタルX線写真上で計測し,抜歯窩の距離として調査を行った。本研究の結果,イグザレルトを服用している患者の抜歯を行う際には,抜歯窩の距離が大きくなると後出血が発生しやすくなる可能性が示唆された。
COI開示なし
倫理審査番号D2019-080