一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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ポスター発表6 全身管理・全身疾患

[P6-05] 抗凝固薬内服中の高齢者における抜歯後出血リスク因子の検討

○森 美由紀1、河合 絢1、清水 梓1、齊藤 美香1、大鶴 洋1,2、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科、2. 東京都)

【目的】
 抗凝固薬服用中の高齢者の抜歯をする機会が増加している。本研究では抗凝固薬(ワルファリンまたはdirect oral anticoagulants:DOACs)内服中の高齢者の抜歯後出血のリスク因子を解析した。
【方法】
 対象は2015年4月から2021年12月まで当科を受診し抗凝固薬内服継続下に抜歯を行った高齢者276例(男性164名、女性112名)を対象とした。抗凝固薬はワルファリン112例、DOACs164例であった。対象を抜歯後出血の有無で2群に分け、年齢、性別、抗血小板薬の併用の有無、CHADs2, HAS-BLED, BMI、MMSE, MNA-SF、PT-INR, APTT, Cre, eGFR, ALB, T-BiL、1回あたりの抜歯本数、術式(難抜歯か普通抜歯)、術中血圧について比較した。統計解析にはSPSSを用いた。2群間の検定にはMann-WhitneyのU検定またはFisherのχ2検定を用いて単変量解析を行い、多変量解析はロジスティック回帰分析を用いた。
【結果と考察】
 抜歯後出血の発生率は、ワルファリン服用患者で10.7%、DOACs服用患者で9.76%であった。ワルファリン服用患者では、PT-INRは抜歯後出血なし群で1.87±0.45、抜歯後出血あり群では2.27±0.48であった。難抜歯は、 抜歯後出血なし群では100例中18例、抜歯後出血あり群では12例中6例であった。MNA-SFは、抜歯後出血なし群では12.0±2.06点、抜歯後出血あり群では9.42±3.20点であった。ワルファリン服用患者における多変量解析では、抜歯後出血リスク因子としてPT-INR、難抜歯およびMNA-SFが抽出された。 DOACs服用患者において、 難抜歯は、抜歯後出血なし群で148例中24例、抜歯後出血あり群では16例中10例であった。1回あたりの抜歯本数は、抜歯後出血なし群で1.87±1.11本、抜歯後出血あり群では2.75±1.81本であった。MNA-SFは、抜歯後出血なし群では12.0±2.15点、抜歯後出血あり群では10.4±3.00点であった。DOACs服用患者における多変量解析では、抜歯後出血リスク因子として難抜歯、1回あたりの抜歯本数、MNA-SFが抽出された。(COI開示:なし) (東京都健康長寿医療センター倫理審査委員会承認番号R-19-13)