The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表)

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ポスター発表8 症例・施設

[P8-01] 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の高リスク患者に対し侵襲的歯科治療を実施した2症例

○板木 咲子1、金久 弥生2、山脇 加奈子1、田地 豪3、吉川 峰加4 (1. 医療法人ピーアイエー、2. 明海大学保健医療学部口腔保健学科、3. 広島大学大学院医系科学研究科 口腔生物工学研究室、4. 広島大学大学院医系科学研究科 先端歯科補綴学研究室)

【目的】
 骨吸収抑制薬のうち,ビスフォスフォネート(以下,BP)治療が4年以上にわたる場合,薬剤関連顎骨壊死(以下,MRONJ)発生率が増加することが報告されている。療養型病床施設において,MRONJの高リスク患者に対し,侵襲的歯科治療を実施した2症例を報告する。
【症例の概要と処置】
 症例①:78歳(歯科初診時),女性。左足骨折,統合失調症,胆嚢ポリープの既往あり。2012年3月に脳血管性認知症にて当グループホームへ入居した。職員より口臭と上顎Br動揺の指摘があり,当院歯科を受診し,重度歯周病のため,3月と5月に抜歯した。2014年9月に右大腿骨転子部骨折を認め, 11月よりBP治療が開始された。 齲蝕と歯周病の進行に伴い,2016年10月(BP治療1年9ヵ月)に抜歯した。歯周病の進行に加えて,残存歯の接触に伴い舌に潰瘍を認めたことから,2020年2月と4月(BP治療4年9ヵ月)に抜歯した。4月の抜歯後に術後感染を認めたが,抗菌薬投与と口腔衛生管理により改善した。
 症例②:71歳(歯科初診時),女性。顔面神経麻痺,急性腎不全の既往あり。2013年2月にアルツハイマー型認知症にて当院へ入院し,3月に検診のため当院歯科を受診した。主治医の判断にて2014年3月よりBP治療が開始された。歯周病の進行に伴い,2015年2月と3月(BP治療8ヵ月),2018年10月と12月(BP治療4年)に抜歯し,良好な予後を有している。
 なお,休薬期間はいずれも3ヵ月間,再開時期は抜歯から1ヵ月前後とした。口腔衛生管理は初診より継続している。本報告の発表について,代諾者から文書による同意を得ている。
【結果と考察】
 MRONJの高リスク患者に対する侵襲的歯科治療の実施において,口腔衛生管理を含む適切な歯科治療を提供したことにより,良好な予後を有することができた。侵襲的歯科治療の実施は,全身疾患との関連から,休薬の必要性,休薬と再開の時機について,医科と連携を図りながら実施することが望ましいと考える。
 (COI開示:なし)
 (医療法人ピーアイエー倫理委員会 承認番号 D-第24号)