[P8-07] 口腔内装置型代用発声装置の使用によりQOLが向上した喉頭全摘出術後の1症例
【目的】
喉頭癌の罹患者は65歳以上が多く、喉頭全摘出術を受けた者は発声機能を失い、介助を求める際など日々のコミュニケーションが困難となる。代用発声法として、電気式人工喉頭、食道発声法、食道気管瘻が用いられるが、聞き取り難さ、難しい訓練が必要、手術の侵襲がある、費用が高いなどそれぞれ難点がある。そこで我々は、口腔内に原音を発するマウスピースを装着するという従来法と全く異なるアプローチの代用発声装置Voice Retrieverを考案し、患者への使用を開始している。今回難しい訓練を要することなく喉頭全摘出術後患者が再び発声可能となり、生活の質が向上した症例を経験したため報告する。
【症例の概要と処置】
82歳男性、2020年に下咽頭癌にて喉頭全摘出術を受けた。配偶者と二人暮らしで、ADL、認知機能に問題はなかった。術後代用発声法として食道発声法を検討していたが、COVID-19感染症の蔓延の影響で発声訓練を受けられず、術後は筆談によるコミュニケーションを取っていた。振戦のため筆談が徐々に難しくなったため、本装置の作製を希望した。2021年11月より本装置を使い始め、装着前後のVoice-Related Quality of Life(V-RQOL)の変化について検証した。なお、本報告に際し患者本人に書面での同意を得た。
【結果と考察】
装置装着初日から発声することができ、音声によるコミュニケーションが可能となった。それにより、V -RQOL が改善した。自ら電話に出ることができる、妻が倒れた時でも助けが呼べる、などの従来からの患者の訴えや不安が解決した。本装置は研究段階であるが発声の再獲得に有用であった。今後、声を失った患者に対する歯科介入を充実させたい。
(COI開示:なし 倫理審査対象外)
喉頭癌の罹患者は65歳以上が多く、喉頭全摘出術を受けた者は発声機能を失い、介助を求める際など日々のコミュニケーションが困難となる。代用発声法として、電気式人工喉頭、食道発声法、食道気管瘻が用いられるが、聞き取り難さ、難しい訓練が必要、手術の侵襲がある、費用が高いなどそれぞれ難点がある。そこで我々は、口腔内に原音を発するマウスピースを装着するという従来法と全く異なるアプローチの代用発声装置Voice Retrieverを考案し、患者への使用を開始している。今回難しい訓練を要することなく喉頭全摘出術後患者が再び発声可能となり、生活の質が向上した症例を経験したため報告する。
【症例の概要と処置】
82歳男性、2020年に下咽頭癌にて喉頭全摘出術を受けた。配偶者と二人暮らしで、ADL、認知機能に問題はなかった。術後代用発声法として食道発声法を検討していたが、COVID-19感染症の蔓延の影響で発声訓練を受けられず、術後は筆談によるコミュニケーションを取っていた。振戦のため筆談が徐々に難しくなったため、本装置の作製を希望した。2021年11月より本装置を使い始め、装着前後のVoice-Related Quality of Life(V-RQOL)の変化について検証した。なお、本報告に際し患者本人に書面での同意を得た。
【結果と考察】
装置装着初日から発声することができ、音声によるコミュニケーションが可能となった。それにより、V -RQOL が改善した。自ら電話に出ることができる、妻が倒れた時でも助けが呼べる、などの従来からの患者の訴えや不安が解決した。本装置は研究段階であるが発声の再獲得に有用であった。今後、声を失った患者に対する歯科介入を充実させたい。
(COI開示:なし 倫理審査対象外)