The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター発表) » [ポスター発表8] 症例・施設

ポスター発表8 症例・施設

[P8-08] 当会高齢者外来での歯科衛生士の取組み
第5報 病院嫌いなオーラルフレイル患者への対応の1例

○吉浜 由美子、若尾 美知代、日吉 美保、棚橋 亜企子、矢ヶ崎 和美、東澤 雪子、吉岡 亜希子、鈴木 裕美子、平野 昌保、菊地 幸信、野村 勝則、高橋 恭彦、小野 洋一、渡辺 真人、小林 利也、鈴木 聡行、秋本 覚、和田 光利、平山 勝徳、片山 正昭 (藤沢市歯科医師会)

【目的】
オーラルフレイルの放置により要介護状態に陥る可能性があり、その軽微な口腔機能の衰えに対し適切な対応を行い、回復を試みることで健康寿命の延伸に繋がると考えられている。今回ケアマネージャーにより紹介来院した独居でセルフケア自立の残根多数な口腔機能低下の疑える方に対し継続通院による口腔健康管理を行ったので報告する。
【症例の概要と処置】
80歳男性。要支援2。右耳難聴。肝硬変・前立腺肥大の既往があるが病院嫌いで定期的な受診・服薬なし。 2021年2月杖歩行にて息子と共に初診来院。「口の中が酷い状態になっている」というケアマネージャーの報告により病院嫌いで放置していたが受診に繋がった。
現在歯25歯。初診時口腔は残根18歯であり咬合支持域はEichner分類B2。刷掃の意識なく食渣停滞、辺縁歯肉からは自然出血も見られた。独居であり食事は麺類を軟らかく茹でたものを主食として不具合を感じておらず、 補綴処置を希望せず疼痛等での都度来院を希望。「管理しやすい口」を作る目的に継続通院してもらうこととし説明した。
医科受診がないためか生体管理モニタ装着による入室時の血圧は180mmHgであり診療中150mmHg前後と高く、 肝硬変のためか易出血性であり保存処置を優先しておこない、補綴を希望しないため「管理しやすい口」を作る目的に治療と並行して継続的口腔衛生管理をおこなうこととした。残根多数であり数本ずつ根管治療・コンポジットレジン充填により管理しやすい口づくりを目的とした通院への動機づけより開始した。
なお本報告の発表について患者本人とその家族から文書による同意を得ている。
【結果と考察】
修復処置を行い齲歯が処置歯となるにしたがい、セルフケアの意識があがり来院時の残存食渣が減り辺縁歯肉からの自然出血も減った。欠損もあり残根多数であるため配慮の必要な口腔であるが、来院の際に刷掃に関する質問が出るようになった。病院嫌いということであったが診療キャンセルすることなく通院している。
コロナ禍でマスクをする環境でもあるため残根多数であることは患者以外把握しておらず、ケアマネージャーにより発見された「忘れられた口腔」であった。医療・介護連携によりオーラルフレイルを早期発見し、継発する要介護状態への移行を減少させ自立した生活を送れるよう今後も取り組んでいく所存である。
(COI開示なし)
(倫理審査対象外)