[P8-15] 口腔機能低下症に該当しない嚥下障害患者の訓練的対応の一例
【目的】
口腔機能低下症は2016年に日本老年歯科医学会より発表され、2018年に保険収載された、比較的新しい概念である。歯科診療所においても口腔機能低下症の対応が求められているようになった一方で、咽頭期の指標には自己記述式のEAT-10のみが用いられており、嚥下機能の精査に至らない場合も多いと考えられる。今回、嚥下障害を訴え外来を受診したものの口腔機能低下症の診断基準には該当しなかった患者に対し、嚥下機能を精査し訓練を指導した結果、主訴が改善された1例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
58歳、男性。逆流性食道炎、肺炎、脳動脈瘤の既往あり。X年5月より痰絡みおよび嚥下困難感を自覚し、X年9月に嚥下機能検査を希望し当科外来受診。初診時の舌圧は41.0kPaなど、口腔機能低下症に該当しないと考えられた。嚥下機能については嚥下障害の自覚度合いをVisual Analogue Scale (VAS)で示すと40/100mm、嚥下造影検査により安静時の舌骨位置の低位および液体をコップから一口摂取したとき、嚥下後に喉頭蓋谷の残留を認めた。それに基づき開口訓練、舌口蓋押し当て訓練(10秒間の訓練を毎日20回ずつ、朝晩に分けて実施)および喉頭閉鎖嚥下法(食事中の嚥下時、意識した際に実施)を指導した。本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【結果と考察】
X+1年1月の受診時に主訴が改善された。舌圧は44.3kPa、VAS 5/100mm、嚥下造影検査において初診時と比較し、安静時の舌骨の位置が3.4mm上方へと変化した。
本症例では口腔機能低下の訴えがある患者に対し、嚥下機能の精査を行ったことにより、主訴の改善に至ったと考えられる。口腔機能低下症の検査項目にとどまらずに、患者の主訴に向き合って改善方法を探ることが重要であると考えた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
口腔機能低下症は2016年に日本老年歯科医学会より発表され、2018年に保険収載された、比較的新しい概念である。歯科診療所においても口腔機能低下症の対応が求められているようになった一方で、咽頭期の指標には自己記述式のEAT-10のみが用いられており、嚥下機能の精査に至らない場合も多いと考えられる。今回、嚥下障害を訴え外来を受診したものの口腔機能低下症の診断基準には該当しなかった患者に対し、嚥下機能を精査し訓練を指導した結果、主訴が改善された1例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
58歳、男性。逆流性食道炎、肺炎、脳動脈瘤の既往あり。X年5月より痰絡みおよび嚥下困難感を自覚し、X年9月に嚥下機能検査を希望し当科外来受診。初診時の舌圧は41.0kPaなど、口腔機能低下症に該当しないと考えられた。嚥下機能については嚥下障害の自覚度合いをVisual Analogue Scale (VAS)で示すと40/100mm、嚥下造影検査により安静時の舌骨位置の低位および液体をコップから一口摂取したとき、嚥下後に喉頭蓋谷の残留を認めた。それに基づき開口訓練、舌口蓋押し当て訓練(10秒間の訓練を毎日20回ずつ、朝晩に分けて実施)および喉頭閉鎖嚥下法(食事中の嚥下時、意識した際に実施)を指導した。本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【結果と考察】
X+1年1月の受診時に主訴が改善された。舌圧は44.3kPa、VAS 5/100mm、嚥下造影検査において初診時と比較し、安静時の舌骨の位置が3.4mm上方へと変化した。
本症例では口腔機能低下の訴えがある患者に対し、嚥下機能の精査を行ったことにより、主訴の改善に至ったと考えられる。口腔機能低下症の検査項目にとどまらずに、患者の主訴に向き合って改善方法を探ることが重要であると考えた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)