[SY6-3] 【東京都大田区】特別養護老人ホーム摂食嚥下指導事業について
【略歴】
昭和50年3月 日本歯科大学卒業
昭和50年4月 虎の門病院専修医
昭和52年4月 虎の門病院歯科
昭和55年8月 東京都大田区に開業
平成6年4月 (社)東京都大田区大森歯科医師会理事
平成13年4月(社)東京都歯科医師会地域保健医療常任委員会副委員長
平成13年4月(社)東京都歯科医師会高齢者保健医療常任委員会委員長
平成21年4月(公社)東京都歯科医師会地域保健医療常任委員会委員長
平成25年7月(公社)日本歯科医師会地域保健委員会委員
平成27年11月(公社)日本歯科医師会地域保健委員会高齢者保健・介護部門ワーキングメンバー
平成29年8月 (公社)日本歯科医師会地域保健委員会副委員長
令和元年6月~(公社)日本歯科医師会 理事
現在に至る
昭和50年3月 日本歯科大学卒業
昭和50年4月 虎の門病院専修医
昭和52年4月 虎の門病院歯科
昭和55年8月 東京都大田区に開業
平成6年4月 (社)東京都大田区大森歯科医師会理事
平成13年4月(社)東京都歯科医師会地域保健医療常任委員会副委員長
平成13年4月(社)東京都歯科医師会高齢者保健医療常任委員会委員長
平成21年4月(公社)東京都歯科医師会地域保健医療常任委員会委員長
平成25年7月(公社)日本歯科医師会地域保健委員会委員
平成27年11月(公社)日本歯科医師会地域保健委員会高齢者保健・介護部門ワーキングメンバー
平成29年8月 (公社)日本歯科医師会地域保健委員会副委員長
令和元年6月~(公社)日本歯科医師会 理事
現在に至る
【抄録】
東京都大田区は、東京23区の南端に位置し、人口約73万人、面積は23区内で最も広く、羽田空港や町工場の集積する工業地や商業地、有名な高級住宅地などもあり、多様な性格を持った地域が混在している地域特性がある。大田区の高齢者人口は、令和3年4月1日現在、約16.6 万人、高齢化率は22.6%であるが、令和7(2025)年度にかけ、介護ニーズの高まる75 歳以上の後期高齢者の割合が拡大し、令和22(2040)年度には、高齢化率は26.9%に達し、高齢者の単身世帯の増加などと共に、認知症高齢者の増加が見込まれている。おおた高齢者施策推進プラン(大田区高齢者福祉計画・第8期大田区介護保険事業計画 令和3年3月)には、自立支援・重度化防止に資するため【「口から食べる幸せを」をコンセプトに、歯科医師会と連携し、区内の特別養護老人ホームにおける利用者の口腔機能を維持改善し、日常生活動作及び生活の質の向上を図り正しい口腔ケアに関する知識の普及、啓発並びに認識の向上を図ること】が明記されている。多くの認知症高齢者が入所している特別養護老人ホーム(以下:特養ホーム)における歯科治療や摂食指導事業は、地区歯科医師会としても、認知症高齢者の口腔機能の維持と食支援につながる重要な事業と認識されている。大田区と地区歯科医師会(公益社団法人大田区大森歯科医師会・公益社団法人蒲田歯科医師会)との区立特養ホームにおける歯科医療連携の歴史は古く、平成3年当時、老人福祉法による措置入所であった特養ホーム内に歯科室が設置され、特別養護老人ホーム歯科協力事業を立ち上げ、歯科医師会協力医よる特養ホーム内での歯科治療が開始された。平成8年からは、昭和大学歯学部口腔衛生学教室(現、昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)の摂食嚥下専門医の指導、連携の下に摂食指導が開始された。平成12年、介護保険導入後、特養ホームは介護老人福祉施設となり、さらに平成27年の区立特養ホームの民営化後も「区内特別養護老人ホーム摂食嚥下指導事業」として、現在、区内13カ所の特養ホームで実施されている。特養ホームの管理栄養士、看護師、介護職員などと歯科医師会協力医や歯科衛生士、大学歯学部からの専門医などが協働し、入所者の食事観察(ミールラウンド)による摂食嚥下機能評価、指導などを月2回程度実施しており、施設の経口維持加算などへの支援も実施している。今後、この事業をさらに充実させていくためには、地域医療連携を前提に、認知症の人への歯科治療や摂食嚥下指導などにかかわる人材育成が必要であり、地域に密着した具体的な多職種連携の勉強会や地区歯科医師会の役割が重要である。本シンポジュームでは、特養ホームにおける認知症高齢者を中心にした摂食指導事業から、認知症にかかわる地域医療連携などの議論ができたらと考えている。
東京都大田区は、東京23区の南端に位置し、人口約73万人、面積は23区内で最も広く、羽田空港や町工場の集積する工業地や商業地、有名な高級住宅地などもあり、多様な性格を持った地域が混在している地域特性がある。大田区の高齢者人口は、令和3年4月1日現在、約16.6 万人、高齢化率は22.6%であるが、令和7(2025)年度にかけ、介護ニーズの高まる75 歳以上の後期高齢者の割合が拡大し、令和22(2040)年度には、高齢化率は26.9%に達し、高齢者の単身世帯の増加などと共に、認知症高齢者の増加が見込まれている。おおた高齢者施策推進プラン(大田区高齢者福祉計画・第8期大田区介護保険事業計画 令和3年3月)には、自立支援・重度化防止に資するため【「口から食べる幸せを」をコンセプトに、歯科医師会と連携し、区内の特別養護老人ホームにおける利用者の口腔機能を維持改善し、日常生活動作及び生活の質の向上を図り正しい口腔ケアに関する知識の普及、啓発並びに認識の向上を図ること】が明記されている。多くの認知症高齢者が入所している特別養護老人ホーム(以下:特養ホーム)における歯科治療や摂食指導事業は、地区歯科医師会としても、認知症高齢者の口腔機能の維持と食支援につながる重要な事業と認識されている。大田区と地区歯科医師会(公益社団法人大田区大森歯科医師会・公益社団法人蒲田歯科医師会)との区立特養ホームにおける歯科医療連携の歴史は古く、平成3年当時、老人福祉法による措置入所であった特養ホーム内に歯科室が設置され、特別養護老人ホーム歯科協力事業を立ち上げ、歯科医師会協力医よる特養ホーム内での歯科治療が開始された。平成8年からは、昭和大学歯学部口腔衛生学教室(現、昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)の摂食嚥下専門医の指導、連携の下に摂食指導が開始された。平成12年、介護保険導入後、特養ホームは介護老人福祉施設となり、さらに平成27年の区立特養ホームの民営化後も「区内特別養護老人ホーム摂食嚥下指導事業」として、現在、区内13カ所の特養ホームで実施されている。特養ホームの管理栄養士、看護師、介護職員などと歯科医師会協力医や歯科衛生士、大学歯学部からの専門医などが協働し、入所者の食事観察(ミールラウンド)による摂食嚥下機能評価、指導などを月2回程度実施しており、施設の経口維持加算などへの支援も実施している。今後、この事業をさらに充実させていくためには、地域医療連携を前提に、認知症の人への歯科治療や摂食嚥下指導などにかかわる人材育成が必要であり、地域に密着した具体的な多職種連携の勉強会や地区歯科医師会の役割が重要である。本シンポジュームでは、特養ホームにおける認知症高齢者を中心にした摂食指導事業から、認知症にかかわる地域医療連携などの議論ができたらと考えている。