The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター4

Fri. Jun 16, 2023 12:00 PM - 1:30 PM ポスター会場 (1階 G3)

[認定P-23] 誤嚥性肺炎を繰り返し,入院中の安静,禁食による廃用,低栄養による摂食嚥下障害

○玉井 斗萌1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【諸言・目的】
 誤嚥性肺炎(AP)発症後禁食となり,経鼻経管栄養(NG)にて在宅療養となった患者に対し,訪問診療にて嚥下機能評価および段階的摂食訓練を行い,3食経口摂取可能となりNGを抜去した症例である。またNG抜去後も低栄養対策ができた症例に関して報告する。
【症例および経過】
 89歳,男性。本態性振戦,糖尿病,高血圧症,心房細動の既往あり。20XX年8月にAPで入院し,自宅退院後経口摂取をしていたが,同年11月に再びAPで入院し,嚥下機能不良のためNG管理で自宅退院した。同年12月に嚥下機能評価のため訪問診療依頼があった。初診時は,体重43.0kg,BMI16.8,Alb3.2g/dL,嚥下重症度分類(DSS)2,痰吸引を頻回に行っていた。とろみ水を用いた嚥下内視鏡検査(VE)では,嚥下反射惹起遅延及び咽頭収縮不良,嚥下後に多量の咽頭残留と誤嚥を認め,更に喀出力不良であり,直接訓練は困難であると判断した。まずはNGからの栄養量の増加を図り,継続したVE評価で直接訓練の開始時期を検討した。また直接訓練が困難な時期は間接訓練等を指導した。1ヶ月後には,言語聴覚士介入時の直接訓練や誤嚥しづらい姿勢を指導した。機能改善に合わせ段階的摂食訓練を行い,お楽しみレベルでの経口摂取が可能となった。また義歯調整により食形態及び食事量が向上し,軟飯・軟菜食が摂取可能となった(DSS4)。20XX+1年5月にはNG抜去依頼を行い,経口摂取が確立した。また体重46.1kg,BMI18.0,Alb3.7g/dLまで改善した。その後,食具について患者が持ちやすいよう持ち手を太くする等の調整も行った。また管理栄養士とも連携した低栄養対策により,さらに体重は増加した。訪問診療開始後,APは再発していない。
 なお,本症例の発表について患者家族から文書による同意を得ている。
【考察】
 NG患者に対し,嚥下機能評価を行い,間接訓練,また適切な時期での直接訓練の指導,その後の段階的摂食訓練を行えたことで,安全に経口摂取の確立ができたと考える。当初はお楽しみ程度の経口摂取でも十分であると考えていた患者や家族にとって,3食経口摂取が可能となりNG抜去できたことは,患者の生きる意力に繋がり,好きなものを食べさせたいという家族にとっても精神的な支援に繋がったと考察された。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)