The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演3] 連携医療・地域医療/加齢変化・基礎研究

一般口演3
連携医療・地域医療/加齢変化・基礎研究

Sat. Jun 17, 2023 3:05 PM - 4:05 PM 第3会場 (3階 G304)

座長:
西 恭宏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔顎顔面補綴学分野)
柏崎 晴彦(九州大学大学院歯学研究院高齢者歯科学・全身管理歯科学分野)

[O3-3] 歯科部門のない地域の中核急性期総合病院の入院患者に対する当院の歯科訪問診療の概要

○斎藤 徹1、スクリボ 理絵1、山崎 裕2、栂安 秀樹1 (1. 医療法人社団秀和会 つがやす歯科医院、2. 北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野高齢者歯科学教室)

【目的】
病院の入院患者でも高齢化が進んでいる。当院では,2011年より歯科部門のない地域の中核急性期総合病院(24診療科,651床)への歯科訪問診療を施行しているが,近年65歳以上の症例の比率も漸増している。本研究では,当該病院に対する当院の歯科訪問診療の概要を報告をする。
【方法】
対象は,2011年1月~2021年12月の間に当院が当該急性期総合病院への歯科訪問診療を施行した初診患者1,032例で(再初診患者を除く),男性620例,女性412例で平均年齢は69.3歳であった。症例のデータ収集にはレセプトカルテシステムOpt.one(オプテック)を用いた。
【結果】
基礎疾患の内訳は,悪性腫瘍が最も多く378例(36.6%)であり,次いで脳梗塞97例(9.4%),肺炎54例(5.2%)であった。歯科治療の内訳としては,歯周治療が最も多く638例(61.8%)で,次いで抜歯274例(26.6%),義歯調整・修理248例(24.0%)であった(歯科治療の内容の重複症例あり)。 2011~2016年までの初診患者数は計265例(平均44.2例/年)であったが,2017~2021年の間の患者数は計767例(平均153.4例/年)と急増した。65歳以上の患者数も2011~2016年の間は計171例(平均28.5例/年)であったが,2017~2021年の間は計554例(平均110.8例/年)と急増し,65歳以上の症例の比率も64.5%から72.2%と有意(p<0.05)に上昇した。また,悪性腫瘍症例も2011~2016年の間の計77症例(平均12.8例/年)と比較して2017~2021年では計310例(平均62.0例/年)と急増し,悪性腫瘍症例の比率も29.1%から40.4%と有意(p<0.001)に上昇した。
【考察】
歯科部門の併設のない病院も少なくない。歯科部門を併設している病院の比率は,600床以上では91.7%と多数を占めているが,病床数の低下とともに比率が低下し,全体では20%にすぎないことが報告されている。今後も歯科部門のない病院の入院患者に対して,歯科訪問診療を介した口腔管理を進めて行きたいと考えている。
(COI開示:なし)
(北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会承認番号:2021第10号)