[P58] 口腔機能低下症検査時に行う簡易型体組成計を用いたサルコペニア診断の試み
【目的】
口腔機能低下とサルコペニアやフレイルの全身的機能低下との関係が報告されている。地域での口腔機能管理は,口腔機能低下症として歯周病管理のように歯科医院で継続していくことが可能である。しかし,サルコペニアやフレイルの評価は,地域での実施は十分とは言えない現状がある。このことから,口腔機能と同様にサルコペニアの評価が歯科医院で実施できれば歯科からの医療貢献が可能と考えられる。今回,口腔機能検査とともに簡易型体組成計を用いたサルコペニア評価を試みている歯科医院での結果と参考としての大学病院の結果について報告する。
【方法】
対象は,2021 年1 月から2022年12月までに,鹿児島県の2歯科医院(施設A,B)と大学病院補綴科(施設C)の来院患者で,本研究に同意を得た497名(施設A:100名,施設B:160名,C施設:237名)とした。口腔機能低下症の代替検査があるものは,口腔粘膜湿潤度,残存歯数,グルコセンサー,EAT-10とした。サルコペニアの評価は,簡易型体組成計(RD-800,タニタ)で計測した四肢骨格筋量,握力,歩行速度をAWGS 2019の診断基準で評価した。統計分析はSPSS(Ver.28)を用い,主に同じ体組成計を用いた施設Aと施設Bの間の比較を行った。
【結果と考察】
対象者の平均年齢は,A施設:82.0歳,B施設:81.9歳,C施設:76.2歳でA,B施設間には差がなかったが,性別はA施設には女性が多く有意差があった。残存歯数は,施設A:14.3,施設B:12.11,施設C:10.13で,施設A, B間に有意差があった。口腔機能低下症の該当率は,A施設:79.0%,B施設:66.3%,C施設:74.7%で,サルコペニアの該当率は,A施設:12.0%,B施設:26.3%,C施設:18.3%であったが,男女別に見ると両性ともに,口腔機能低下症と四肢骨格筋量には施設A, B間には差がなかった。簡易型体組成計による筋肉量の測定は歯科医院で十分に可能であったことから,再現性や精度等の詳細な検証と継続的な実用性の検討をすべきと考えられた。
(COI開示:なし)
(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190165疫)
口腔機能低下とサルコペニアやフレイルの全身的機能低下との関係が報告されている。地域での口腔機能管理は,口腔機能低下症として歯周病管理のように歯科医院で継続していくことが可能である。しかし,サルコペニアやフレイルの評価は,地域での実施は十分とは言えない現状がある。このことから,口腔機能と同様にサルコペニアの評価が歯科医院で実施できれば歯科からの医療貢献が可能と考えられる。今回,口腔機能検査とともに簡易型体組成計を用いたサルコペニア評価を試みている歯科医院での結果と参考としての大学病院の結果について報告する。
【方法】
対象は,2021 年1 月から2022年12月までに,鹿児島県の2歯科医院(施設A,B)と大学病院補綴科(施設C)の来院患者で,本研究に同意を得た497名(施設A:100名,施設B:160名,C施設:237名)とした。口腔機能低下症の代替検査があるものは,口腔粘膜湿潤度,残存歯数,グルコセンサー,EAT-10とした。サルコペニアの評価は,簡易型体組成計(RD-800,タニタ)で計測した四肢骨格筋量,握力,歩行速度をAWGS 2019の診断基準で評価した。統計分析はSPSS(Ver.28)を用い,主に同じ体組成計を用いた施設Aと施設Bの間の比較を行った。
【結果と考察】
対象者の平均年齢は,A施設:82.0歳,B施設:81.9歳,C施設:76.2歳でA,B施設間には差がなかったが,性別はA施設には女性が多く有意差があった。残存歯数は,施設A:14.3,施設B:12.11,施設C:10.13で,施設A, B間に有意差があった。口腔機能低下症の該当率は,A施設:79.0%,B施設:66.3%,C施設:74.7%で,サルコペニアの該当率は,A施設:12.0%,B施設:26.3%,C施設:18.3%であったが,男女別に見ると両性ともに,口腔機能低下症と四肢骨格筋量には施設A, B間には差がなかった。簡易型体組成計による筋肉量の測定は歯科医院で十分に可能であったことから,再現性や精度等の詳細な検証と継続的な実用性の検討をすべきと考えられた。
(COI開示:なし)
(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190165疫)