[P74] 歯学部1年次生が多職種に持っている“親近性”に関する一考察
【目的】
岡山大学歯学部における1年次生対象の早期見学実習内容は,コロナ禍による内容変更に伴い,「歯科医師の専門性,今後必要とされる歯科医師像」,「感染防御概論」,「手指の衛生」など,多職種連携に関わる内容を検討テーマとするグループワークを含めた(計15時間,1日5時間)。その中で,卒後における円滑な多職種連携の実践には,他職種に対する同僚としての“親しみやすさ”の影響を考慮する必要があると考え,学生実習前後における各職種に対する “親近性”を調査・考察したので報告する。
【方法】
対象は,2022年11月の3日程において早期見学実習を受講する歯学部1年次生(学士編入生を含む)48名とし,3日程の開始時と終了時でアンケートを実施した。内容は,医師など8職種の身近さを4段階(1:身近に感じる〜4:疎遠に感じる)で質問した。アンケートは,口頭説明に加え,研究への協力のお願いに関する文書を読んでもらい,同意する学生は,アンケート冒頭の「同意する」にチェックを入れることで実施した。
【結果と考察】
アンケート結果の分析は,同意した学生の中で,全3日間を受講した37名の結果を対象とした。3日程開始時のアンケートでは,医師・看護師・歯科衛生士の平均値が各2前後の一方で,言語聴覚士,理学療法士は平均値が3以上であり,歯科技工士も平均値が2.6と歯科衛生士に比べて低印象であった。3日程終了時のアンケートでは,開始時に比べて,7職種で親しみやすさが増していたが,管理栄養士や言語聴覚士,理学療法士は平均値が約2.8であり,その他の職種よりも依然として低印象であった。現在,国が推進している地域包括ケアシステム構築では,歯科医師と多職種との円滑な連携が極めて重要である。歯科医師が地域包括ケアシステムの中で如何に活躍できるかは,今後更に増える高齢者や有病者への歯科診察の成否と密接に繋がっている。従って,歯学部1年次生を含む卒前教育の中で多職種連携医療を深く理解し,歯科医師を関わり方の事例を通して学習する機会の創出は,各大学歯学部必須の取組みであると言え,そのためにも,低印象だった職種を中心に親しみやすさを醸成するカリキュラムが必要と考える。(会員外協力:伊野英男,柳文修,三好智子,越智可奈子,猪田宏美)
(COI開示:なし)(岡山大学医療系部局臨床研究審査専門委員会 研2211-028)
岡山大学歯学部における1年次生対象の早期見学実習内容は,コロナ禍による内容変更に伴い,「歯科医師の専門性,今後必要とされる歯科医師像」,「感染防御概論」,「手指の衛生」など,多職種連携に関わる内容を検討テーマとするグループワークを含めた(計15時間,1日5時間)。その中で,卒後における円滑な多職種連携の実践には,他職種に対する同僚としての“親しみやすさ”の影響を考慮する必要があると考え,学生実習前後における各職種に対する “親近性”を調査・考察したので報告する。
【方法】
対象は,2022年11月の3日程において早期見学実習を受講する歯学部1年次生(学士編入生を含む)48名とし,3日程の開始時と終了時でアンケートを実施した。内容は,医師など8職種の身近さを4段階(1:身近に感じる〜4:疎遠に感じる)で質問した。アンケートは,口頭説明に加え,研究への協力のお願いに関する文書を読んでもらい,同意する学生は,アンケート冒頭の「同意する」にチェックを入れることで実施した。
【結果と考察】
アンケート結果の分析は,同意した学生の中で,全3日間を受講した37名の結果を対象とした。3日程開始時のアンケートでは,医師・看護師・歯科衛生士の平均値が各2前後の一方で,言語聴覚士,理学療法士は平均値が3以上であり,歯科技工士も平均値が2.6と歯科衛生士に比べて低印象であった。3日程終了時のアンケートでは,開始時に比べて,7職種で親しみやすさが増していたが,管理栄養士や言語聴覚士,理学療法士は平均値が約2.8であり,その他の職種よりも依然として低印象であった。現在,国が推進している地域包括ケアシステム構築では,歯科医師と多職種との円滑な連携が極めて重要である。歯科医師が地域包括ケアシステムの中で如何に活躍できるかは,今後更に増える高齢者や有病者への歯科診察の成否と密接に繋がっている。従って,歯学部1年次生を含む卒前教育の中で多職種連携医療を深く理解し,歯科医師を関わり方の事例を通して学習する機会の創出は,各大学歯学部必須の取組みであると言え,そのためにも,低印象だった職種を中心に親しみやすさを醸成するカリキュラムが必要と考える。(会員外協力:伊野英男,柳文修,三好智子,越智可奈子,猪田宏美)
(COI開示:なし)(岡山大学医療系部局臨床研究審査専門委員会 研2211-028)