The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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シンポジウム » [シンポジウム2] 超高齢社会を見据えた,歯科の公的医療保険制度のあるべき姿とは

シンポジウム2
超高齢社会を見据えた,歯科の公的医療保険制度のあるべき姿とは

Sat. Jun 17, 2023 9:40 AM - 11:20 AM 第1会場 (1階 G4)

座長:
猪原 健(医療法人社団 敬崇会 猪原歯科・リハビリテーション科)
菊谷 武(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長・ 教授)

企画:社会保険委員会

[SY2-2] 2024年 診療・介護報酬同時改定に向けた課題点の整理とあるべき姿 ワークショップ報告

○猪原 健1 (1. 医療法人社団 敬崇会 猪原歯科・リハビリテーション科)

【略歴】
2005年 東京医科歯科大学歯学部 卒業
2009年 同大学院 顎顔面補綴学分野 修了
2010年 日本大学歯学部摂食機能療法科 非常勤医員
2010-2011年 カナダ・アルバータ大学リハビリテーション学部言語聴覚療法学科Visiting Professor留学
2012年 猪原歯科医院 副院長
2015年 脳神経センター大田記念病院に歯科を立ち上げ、非常勤歯科医として勤務
2020年 猪原歯科・リハビリテーション科 理事長
2022年 グロービス経営大学院経営研究科 修了(MBA)
東京医科歯科大学・岡山大学・大阪歯科大学 非常勤講師
日本在宅医療連合学会 理事、全国在宅療養支援歯科診療所連絡会 理事
【抄録(Abstract)】
超高齢社会の到来により、我が国の歯科疾病構造や、それを取り巻く医療・介護資源、経済環境、そして国民の医療・介護に対する意識は、大きくかつ急激に変化しており、現状の公的医療保険制度では十分に対応しきれなくなっている。ただ、社会保障財源が限られてしまっている現状においては、全ての分野において理想的な報酬体系を整備することは困難であるため、医学的妥当性を担保した上で、全てのステークホルダーが納得できる提言を行うことが、学術団体として求められている。 その際の基本となる考え方は、より困難を抱えている重度者に対して行う診療や、医療安全への配慮を含めた質の高い医療の提供に対して、適切な評価がなされるべき、というものである。
なお、次期2024年は、6年に1度の、診療報酬と介護報酬の同時改定となる。高齢者への歯科訪問診療においては、医療保険だけでなく、居宅療養管理指導等の介護報酬の算定を行うことになるが、特に医学管理については医療保険と介護保険の給付調整が行われている。だた、両制度の間には、算定条件などに整合性が取れていないものがあるなどしており、この6年に1度の機会を逃すことなく、ロビー活動を行う必要がある。 以上より、日本老年歯科医学会社会保険委員会では、現状の医療・介護保険制度の課題点の整理とあるべき姿の提言にむけて、全6回にわたってワークショップ(WS)を行った。
WSの内容は、以下の通りである。
・外来診療における高齢患者への対応
・多職種協働における食支援
・医療保険と介護保険の給付調整
・歯科歯科連携、病院歯科
・在宅歯科医療
・がん、難病、看取り
近年、口腔機能低下症の新病名追加や、周術期口腔機能管理の拡充など、高齢者歯科医療に対しては追い風が吹いていると考えられるが、しかし一方で、一般的に手術が行われない難病患者に対する歯科医療や、リハビリテーションを主体とする病院における歯科部門への評価は全く行われていない。また終末期において、歯科が看取りに関わる場合に算定回数の制限があったり、回復の見込みのない患者に対する緩和ケアはどうするのかなど、多くのディスカッションがなされた。
本演題では、WSにおけてディスカッションされた内容を報告し、その中で取り上げられた課題点の整理を行う。またこれらを踏まえた上で、医療保険制度のあるべき姿を示し、次期診療報酬・介護報酬同時改定に向けた本学会としての提言を行うための足掛かりとしたい。