The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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シンポジウム » [シンポジウム2] 超高齢社会を見据えた,歯科の公的医療保険制度のあるべき姿とは

シンポジウム2
超高齢社会を見据えた,歯科の公的医療保険制度のあるべき姿とは

Sat. Jun 17, 2023 9:40 AM - 11:20 AM 第1会場 (1階 G4)

座長:
猪原 健(医療法人社団 敬崇会 猪原歯科・リハビリテーション科)
菊谷 武(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長・ 教授)

企画:社会保険委員会

[SY2-3] 人生の最終段階における歯科医療のかかわり方

○阪口 英夫1 (1. 陵北病院歯科)

【学歴】
1989年 東北歯科大学 歯学部 卒業
2014年 東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 卒業 歯学博士
【職歴】
1992年 医療法人尚寿会 大生病院 歯科 勤務
2014年 医療法人永寿会 陵北病院 歯科診療部長
2018年   同   副院長
【教育歴】
1999年 東京医科歯科大学歯学部 高齢者歯科学講座 非常勤講師(兼務)
2005年 明海大学 歯学部 社会健康科学講座 口腔衛生分野 講師(兼務)
2006年 奥羽大学 歯学部 高齢者歯科学講座 講師(兼務)
【抄録(Abstract)】
人生の最終段階において、医療サービスの提供は必要不可欠なものである。それは歯科医療も例外ではなく、口腔環境をできるだけ快適に保つためには歯科医療サービスの提供が必要である。現在の社会保険制度にあって、人生の最終段階における歯科医療を評価したものは、周術期口腔機能管理に緩和医療を行う際に算定できる項目と、非経口摂取患者粘膜処置があるが充分ではないと考える。緩和医療はがんの場合に限っており、それ以外には対応していない。また、非経口摂取患者粘膜処置にあっては、月に2回の算定制限があり、人生の最終段階にあっては、月に2回では十分な処置回数にはならないとの意見もある。一方、がんにおける緩和医療のなかで、在宅での看取りを目的に退院し、そこへ在宅医療チームの一員として歯科が参加するケースが近年増加している。こういったケースでは対応期間が約1カ月間と短期であり、その短期間に頻回な訪問などの対応が必要となるが、それに対応した診療報酬制度にはなっていない。医科や訪問看護に対する診療報酬では、人生の最終段階に関わることによる特別な診療報酬の評価もあるため、歯科医療が遅れている感は否めない。
 人生の最終段階において、口腔が変化することに対して適切な対応をすることは技術的にはそれほど難しいことではい。基本的な知識があれば歯科医師・歯科衛生士で十分対応が可能である。それにも関わらず、現場での関わりがすくないのは、診療報酬制度と人生の最終段階における口腔の変化に対する知識の普及がともに形成されていないと考える。そこで今回は演者の経験をもとに、人生の最終段階における口腔の変化とその対応について解説し、それらの対応にかかる診療報酬への意見表出を行いたいと思う。高齢者歯科医療にかかわる多くの歯科医師・歯科衛生士の聴講を望むものである。