[認定P-11] インプラント埋入後の早期の予後不良の原因として喫煙が考えられた症例
【緒言・目的】
インプラント治療は欠損補綴の手段として有効であり,現在治療の技術の進歩により安全かつ正確に埋入でき成功率も上がっている。しかし、インプラントには埋入後のリスクも多くあり喫煙もその一つである。今回,重度喫煙の高齢者に対してインプラント埋入を行い予後不良となった症例を経験したので発表する。
【症例及び経過】
74歳,男性。令和4年6月,右下②①左下12③Brの脱離を主訴に初診で来院。13年前に左下456にインプラントを埋入しており,経過は良好であった。受診時の口腔内残存歯は,右上23左上23左下3右下1234567。上顎欠損部には義歯を装着しており適合は良好であった。生活習慣としては喫煙を1日30本,既往歴は高血圧症,第5-7頚椎椎間板ヘルニアであった。初診時に再装着したBrは早期に再脱離したため,左下12部,他に保存不可能と診断した右下4の抜歯部も含め,令和5年1月に3本インプラント埋入術を施行した。術後の経過では,2ヶ月後に左下1部,右下4部に炎症を認めたため1週間抗生物質を内服投与したが症状改善せず,令和5年5月に同部のインプラント体を除去し,同時にGBRを行った。同年12月にインプラント再埋入術を行ったが,右下4については早期にインプラント周囲炎を発症したため撤去する結果となった。残存しているインプラントは良好に経過している。なお,本報告の発表について患者から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,患者が高齢に加えて重度喫煙者であったため,インプラント埋入後のリスクが高い症例であった。患者は過去にも臼歯部にインプラント埋入しており現在まで問題なく経過しているが,今回は下顎前歯部および小臼歯部のインプラント埋入であり,喫煙の主流煙が埋入部に直接当たったと推測され,末梢血管障害や免疫機能障害が起きることで術後治癒やインプラントの生着が遅延し治癒不全が起きたと考えられる。術後の喫煙については禁煙指導を徹底したが患者の理解を得ることが困難で,禁煙を長期継続させるまでには至らなかった。この経験より,重度喫煙者のインプラント埋入については慎重に適応症か検討する必要があると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
インプラント治療は欠損補綴の手段として有効であり,現在治療の技術の進歩により安全かつ正確に埋入でき成功率も上がっている。しかし、インプラントには埋入後のリスクも多くあり喫煙もその一つである。今回,重度喫煙の高齢者に対してインプラント埋入を行い予後不良となった症例を経験したので発表する。
【症例及び経過】
74歳,男性。令和4年6月,右下②①左下12③Brの脱離を主訴に初診で来院。13年前に左下456にインプラントを埋入しており,経過は良好であった。受診時の口腔内残存歯は,右上23左上23左下3右下1234567。上顎欠損部には義歯を装着しており適合は良好であった。生活習慣としては喫煙を1日30本,既往歴は高血圧症,第5-7頚椎椎間板ヘルニアであった。初診時に再装着したBrは早期に再脱離したため,左下12部,他に保存不可能と診断した右下4の抜歯部も含め,令和5年1月に3本インプラント埋入術を施行した。術後の経過では,2ヶ月後に左下1部,右下4部に炎症を認めたため1週間抗生物質を内服投与したが症状改善せず,令和5年5月に同部のインプラント体を除去し,同時にGBRを行った。同年12月にインプラント再埋入術を行ったが,右下4については早期にインプラント周囲炎を発症したため撤去する結果となった。残存しているインプラントは良好に経過している。なお,本報告の発表について患者から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,患者が高齢に加えて重度喫煙者であったため,インプラント埋入後のリスクが高い症例であった。患者は過去にも臼歯部にインプラント埋入しており現在まで問題なく経過しているが,今回は下顎前歯部および小臼歯部のインプラント埋入であり,喫煙の主流煙が埋入部に直接当たったと推測され,末梢血管障害や免疫機能障害が起きることで術後治癒やインプラントの生着が遅延し治癒不全が起きたと考えられる。術後の喫煙については禁煙指導を徹底したが患者の理解を得ることが困難で,禁煙を長期継続させるまでには至らなかった。この経験より,重度喫煙者のインプラント埋入については慎重に適応症か検討する必要があると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)