[認定P-15] 進行性核上性麻痺を有する高齢者において口腔機能管理および栄養指導にて体重減少から回復した一例
【緒言・目的】
進行性核上性麻痺は,進行により転倒や摂食機能低下が懸念され,ADLの著しい低下および誤嚥性肺炎のリスクが上昇する。摂食機能障害による低栄養に対しては,積極的に対応しなければならない。今回, 進行性核上性麻痺を有する高齢者に口腔機能管理と栄養指導により体重減少から回復した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
85歳,女性。進行性核上性麻痺。2023年2月下旬より6ヶ月で体重が10%減少し,また嚥下困難感も認めたため,同年年8月歯科訪問診療を開始した。初診時,閉口困難で下顎右方偏位を認めたため,徒手整復を実施した。習慣性顎関節脱臼に対しては顎外固定装置を使用し,顎位の安定化を現在まで継続している。初診時の摂食機能評価でわずかな嚥下反射惹起遅延を認めたため,水分の薄とろみ付け,食形態変更および交互嚥下を指導するとともに,管理栄養士による栄養指導を行った。歯科訪問診療介入1ヶ月後に体重が0.6kg減少していたため,再度栄養指導を実施した。歯科訪問診療介入3ヶ月後に摂食機能再評価を実施し摂食機能は維持されており、体重は初診時より1.7kg増加となっていた。今後,病状進行に伴う摂食機能障害に対しては定期的に評価を行い,可及的に口腔摂食を維持する。体重減少に対しては継続した栄養管理による体重の維持増加を図る。なお,本報告の発表について患者家族から文書による承諾を得ている。
【考察】
本症例は摂食機能障害を認め,誤嚥性肺炎予防のために口腔機能管理の必要があった。併せて体重減少に対しては管理栄養士と協力し,適切な栄養指導を早期に行うことで体重が増加した。一般的に専門知識を要求される栄養管理は家族のみでは困難であり,本症例でも介入1ヶ月後に市販嚥下調整食中心の食事になり一時的に体重減少を認めた。今後も継続した栄養指導により安定した体重の維持増加を図る。また現状,摂食機能障害は進行していないが,病状進行に早期対応するため定期的な客観的評価及び主治医,ケアマネジャー等との緊密な他職種連携を行う必要がある。
( COI 開示:なし)
倫理審査対象外
進行性核上性麻痺は,進行により転倒や摂食機能低下が懸念され,ADLの著しい低下および誤嚥性肺炎のリスクが上昇する。摂食機能障害による低栄養に対しては,積極的に対応しなければならない。今回, 進行性核上性麻痺を有する高齢者に口腔機能管理と栄養指導により体重減少から回復した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
85歳,女性。進行性核上性麻痺。2023年2月下旬より6ヶ月で体重が10%減少し,また嚥下困難感も認めたため,同年年8月歯科訪問診療を開始した。初診時,閉口困難で下顎右方偏位を認めたため,徒手整復を実施した。習慣性顎関節脱臼に対しては顎外固定装置を使用し,顎位の安定化を現在まで継続している。初診時の摂食機能評価でわずかな嚥下反射惹起遅延を認めたため,水分の薄とろみ付け,食形態変更および交互嚥下を指導するとともに,管理栄養士による栄養指導を行った。歯科訪問診療介入1ヶ月後に体重が0.6kg減少していたため,再度栄養指導を実施した。歯科訪問診療介入3ヶ月後に摂食機能再評価を実施し摂食機能は維持されており、体重は初診時より1.7kg増加となっていた。今後,病状進行に伴う摂食機能障害に対しては定期的に評価を行い,可及的に口腔摂食を維持する。体重減少に対しては継続した栄養管理による体重の維持増加を図る。なお,本報告の発表について患者家族から文書による承諾を得ている。
【考察】
本症例は摂食機能障害を認め,誤嚥性肺炎予防のために口腔機能管理の必要があった。併せて体重減少に対しては管理栄養士と協力し,適切な栄養指導を早期に行うことで体重が増加した。一般的に専門知識を要求される栄養管理は家族のみでは困難であり,本症例でも介入1ヶ月後に市販嚥下調整食中心の食事になり一時的に体重減少を認めた。今後も継続した栄養指導により安定した体重の維持増加を図る。また現状,摂食機能障害は進行していないが,病状進行に早期対応するため定期的な客観的評価及び主治医,ケアマネジャー等との緊密な他職種連携を行う必要がある。
( COI 開示:なし)
倫理審査対象外