[認定P-29] 左側上顎歯肉癌による左側上顎亜全摘術後に、多職種と連携し摂食嚥下リハビリテーションの介入を行った症例
【緒言・目的】
周術期の多職種連携は重要性である。今回は口腔癌術後に、摂食嚥下障害を生じ当科に紹介された患者に対し、多職種と連携し経口摂取機能が術前とほぼ同等に回復した症例を報告する。
【症例および経過】
74歳、男性。既往歴として高血圧があった。2020年7月に左側上顎歯肉癌(扁平上皮癌)に対し、術前化学放射線療法を行ったうえで、左側上顎亜全摘術・植皮術を行った。術後、当科に摂食嚥下リハビリテーションの依頼があった。身長157.2cm、体重46.7kg(入院時53.3kg)、高度難聴で理解力に乏しかった。当初は上顎にシーネを装着しており、嚥下造影検査を行うと送り込みに時間はかかるものの、濃いとろみ水から液体は誤嚥・喉頭侵入を認めなかった。一方で、固形食は準備期の問題のため食塊形成不全を認めた。そのため、ペースト食から経口摂取開始とした。その後、食上げの際はVE・VFを実施し、問題ないことを確認しながら、退院時はほぼ常食まで嚥下できるようになった。しかし、術後微熱を呈することがあり、念のため飲水に関しては2週間程度薄いとろみを継続した。その後、熱発がなくなりCRPの値も基準値以下となったため、とろみ解除とした。同年10月下旬に軽快したため退院となった。退院後も、口腔外科とともに当科においても定期的にフォローを行うことになった。また、患者本人は入院前から調理の習慣がなく独居であり、外食と中食のメニュー選択によっては食べづらさが増すことが予想され、食事の用意等に不安を感じていた。そのため、当院の管理栄養士と連携し栄養指導を行った。また、2021年11月に顎義歯補綴も完成した。その後も、半年に一回程度、当科で定期的フォローを行い体重も入院当初とほぼ同等のレベルに戻り、維持することが出来ている。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
口腔癌の周術期の摂食嚥下リハビリテーションを行うにあたって、患者背景を十分に理解することが必要である。周術期・回復期において、シームレスに多職種で連携することで、患者の早期回復・退院に繋がり、結果的にQOL向上に結び付く。単に摂食嚥下リハビリテーションを実施するのではなく、他職種の専門性の力を借りて協働することが重要であると考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
周術期の多職種連携は重要性である。今回は口腔癌術後に、摂食嚥下障害を生じ当科に紹介された患者に対し、多職種と連携し経口摂取機能が術前とほぼ同等に回復した症例を報告する。
【症例および経過】
74歳、男性。既往歴として高血圧があった。2020年7月に左側上顎歯肉癌(扁平上皮癌)に対し、術前化学放射線療法を行ったうえで、左側上顎亜全摘術・植皮術を行った。術後、当科に摂食嚥下リハビリテーションの依頼があった。身長157.2cm、体重46.7kg(入院時53.3kg)、高度難聴で理解力に乏しかった。当初は上顎にシーネを装着しており、嚥下造影検査を行うと送り込みに時間はかかるものの、濃いとろみ水から液体は誤嚥・喉頭侵入を認めなかった。一方で、固形食は準備期の問題のため食塊形成不全を認めた。そのため、ペースト食から経口摂取開始とした。その後、食上げの際はVE・VFを実施し、問題ないことを確認しながら、退院時はほぼ常食まで嚥下できるようになった。しかし、術後微熱を呈することがあり、念のため飲水に関しては2週間程度薄いとろみを継続した。その後、熱発がなくなりCRPの値も基準値以下となったため、とろみ解除とした。同年10月下旬に軽快したため退院となった。退院後も、口腔外科とともに当科においても定期的にフォローを行うことになった。また、患者本人は入院前から調理の習慣がなく独居であり、外食と中食のメニュー選択によっては食べづらさが増すことが予想され、食事の用意等に不安を感じていた。そのため、当院の管理栄養士と連携し栄養指導を行った。また、2021年11月に顎義歯補綴も完成した。その後も、半年に一回程度、当科で定期的フォローを行い体重も入院当初とほぼ同等のレベルに戻り、維持することが出来ている。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
口腔癌の周術期の摂食嚥下リハビリテーションを行うにあたって、患者背景を十分に理解することが必要である。周術期・回復期において、シームレスに多職種で連携することで、患者の早期回復・退院に繋がり、結果的にQOL向上に結び付く。単に摂食嚥下リハビリテーションを実施するのではなく、他職種の専門性の力を借りて協働することが重要であると考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)