[O1-4] 高齢者の食欲低下に影響を及ぼす咀嚼関連因子の検討
【目的】
先行研究において、高齢者の食欲低下には咀嚼が関与している可能性が示された。そこで、複数の咀嚼評価法を用いて、高齢者の食欲低下に影響を及ぼす咀嚼関連因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
65歳以上の歯科診療所通院患者51名を対象に、食欲評価(CNAQ-J)、食品摂取の多様性評価(DVS)、口腔粘膜湿潤度測定、舌口唇運動機能測定、咀嚼能率評価、噛み合わせ評価、食事時間や咀嚼回数の測定を実施した。
【結果と考察】
口腔粘膜湿潤度基準値未満群は基準値以上群に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(26.0±3.6点, 30.0±2.5点, p=0.005)。ドライマウスと判定された多くの患者には味覚障害が存在することが報告されている。このことから、口腔内が乾燥することにより、味を感じるという食事の楽しみが損なわれ、食欲が低下する可能性が考えられる。また、噛み合わせ不良群は良好群に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(28.5±2.7点, 30.8±2.4点, p=0.003)。臼歯部の咬合支持は食事を含めた日常生活動作の「高齢者の意欲」と有意に関連していることが報告されている。このことから、高齢者の食欲の維持・増進には、臼歯部の咬合支持を維持することが重要であると考えられる。さらに、食事時間が長い群(対象集団の中央値以上)は短い群(中央値未満)に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(28.9±2.1点, 30.5±3.2点, p=0.039)。食事時間が長い時は短い時に比べ、食欲抑制ホルモン(GLP-1・PYY)が有意に高値を示したが、食欲促進ホルモン(グレリン)には影響がみられなかったことが報告されている。このことから、食事時間の延長は、食欲調節ホルモンのアンバランス(食欲抑制ホルモン優位)を介して食欲の低下を引き起こす可能性が考えられる。(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学研究倫理委員会承認番号 23-13)
先行研究において、高齢者の食欲低下には咀嚼が関与している可能性が示された。そこで、複数の咀嚼評価法を用いて、高齢者の食欲低下に影響を及ぼす咀嚼関連因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
65歳以上の歯科診療所通院患者51名を対象に、食欲評価(CNAQ-J)、食品摂取の多様性評価(DVS)、口腔粘膜湿潤度測定、舌口唇運動機能測定、咀嚼能率評価、噛み合わせ評価、食事時間や咀嚼回数の測定を実施した。
【結果と考察】
口腔粘膜湿潤度基準値未満群は基準値以上群に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(26.0±3.6点, 30.0±2.5点, p=0.005)。ドライマウスと判定された多くの患者には味覚障害が存在することが報告されている。このことから、口腔内が乾燥することにより、味を感じるという食事の楽しみが損なわれ、食欲が低下する可能性が考えられる。また、噛み合わせ不良群は良好群に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(28.5±2.7点, 30.8±2.4点, p=0.003)。臼歯部の咬合支持は食事を含めた日常生活動作の「高齢者の意欲」と有意に関連していることが報告されている。このことから、高齢者の食欲の維持・増進には、臼歯部の咬合支持を維持することが重要であると考えられる。さらに、食事時間が長い群(対象集団の中央値以上)は短い群(中央値未満)に比べ、CNAQ-Jスコアが有意に低値を示した(28.9±2.1点, 30.5±3.2点, p=0.039)。食事時間が長い時は短い時に比べ、食欲抑制ホルモン(GLP-1・PYY)が有意に高値を示したが、食欲促進ホルモン(グレリン)には影響がみられなかったことが報告されている。このことから、食事時間の延長は、食欲調節ホルモンのアンバランス(食欲抑制ホルモン優位)を介して食欲の低下を引き起こす可能性が考えられる。(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学研究倫理委員会承認番号 23-13)