[O2-5] Oral Frailty 5-item checklistによるオーラルフレイル評価-SONIC研究調査-
【目的】オーラルフレイルは,歯の喪失や口腔機能のささいな衰えが重複し,口腔機能低下のリスクが増加している状態である。オーラルフレイルならびに客観的検査値に基づく口腔機能低下症(OHF)は,口腔機能の低下に続く口腔機能障害や低栄養,フレイル,サルコペニアへの進行を予防するうえで重要な概念である。近年,歯科医療専門職種が不在でもオーラルフレイルの評価が可能な「Oral Frailty 5-item checklist,OF-5」が開発された。本研究では,地域在住高齢者における口腔機能をOF-5ならびにOHFの各基準で評価し,その関連を検討した。【方法】 本横断研究の対象者は,2019年度にSONIC研究に参加した78-80歳の自立した地域在住高齢者494名(男性242名,女性252名)とした。OF-5は,歯数(20歯未満),咀嚼困難感,嚥下困難感,口腔乾燥感および滑舌低下(オーラルディアドコキネシス「タ」音;6回未満/秒)の5項目を用い,2つ以上の項目に該当した対象者をOF-5該当とした。OHFは,口腔衛生状態(TCI),口腔乾燥(口腔水分計),歯数,舌口唇運動機能,舌圧(JMS 舌圧測定器),咀嚼機能(スコア法),嚥下機能(EAT-10)の7項目を用い,3つ以上の項目に該当した対象者をOHF該当とした。対象者におけるOFおよびOHFの該当率を算出し,OHFに対するOFの感度,特異度ならびにAUCを算出した。【結果と考察】OF-5該当率は229名(46.4%)であった。該当項目は,滑舌低下,歯数(20歯未満)が多くの割合が占め,それぞれ45.5%,37.7%であった。一方,OHF該当率は209名(42.3名)であった。舌口唇機能運動の低下(70.9%)および低舌圧(64.4%)が高い割合を示し,その他の項目は,嚥下機能(3.8%)を除き,同程度の該当割合を示した(24.3-38.3%)。なお,OHFに対するOF-5の感度ならびに特異度は,67.6%および69.5%であった。また,受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.68(95%信頼区間:0.64-0.73)であった。今後,OF-5によるオーラルフレイル評価の妥当性について,より詳細な検討が望まれる。(COI開示:なし)(大阪大学大学院歯学研究科・歯学部および歯学部附属病院倫理審査委員会承認番号 R1-E28)